自民党は反対できず、反主流派は消えてしまう。「シャビーな内閣改造」でも野田総理が増税にひた走る理由
サプライズなき内閣改造 【photo】Bloomburg via Getty images

 シャビーな内閣改造だった。参院で問責決議が可決された防衛相、消費者相の2閣僚を含め計5閣僚を退任させ、副総理兼一体改革・行政改革相に岡田克也前幹事長、文部科学相に平野博文国会対策委員長、法相に小川敏夫参院幹事長、防衛相に田中直紀参院議員、消費者相に松原仁国土交通副大臣を起用した。民主党役員人事は、平野博文国対委員長の後任に城島光力幹事長代理がついた。輿石幹事長、前原政調会長は続投する。

 この改造の評判はよくない。改造直後の主要各紙の世論調査によれば、消費税増税について、各紙の反対は朝日57%、読売55%、日経56%と過半数を超えた。また、内閣支持率も朝日298%、読売37%、日経37%だった。

増税の前にやるべきことをやっていないことのほか、目玉である岡田克也前幹事長の副総理・一体改革相の話は早々とマスコミに出ていたのが一因だ。人事が漏れるのはお互いのためにもよくない。野田総理が対外的に漏らして岡田氏を追い込んだなら人事として最低だし、第三者の人を介していればその人は信用できない。いずれにしても、野田佳彦総理が一人で決められないことを示している。

増税にうってつけの岡田副総理

もともと内閣改造は、やる前には民主党議員の期待を高めるので民主党内の求心力を高めることができるが、やった後は閣僚に選ばれなかった多くの議員の失望を買うので、急速に党内求心力が失われるものだ。そこで、サプライズ人事によって世論の関心を引き留め、そのうちに大きな仕事をすることで内閣改造の成果をアピールしなければいけない。

 ところが、この内閣改造にはポジティブ・サプライズがない。問責決議を受けた一川保夫防衛相と山岡賢次消費者相を代えるだけでは能がないので、それにプラスアルファが必要だったが、何もなかった。

 岡田氏を入閣させたのは、一体改革に本気であることを示すためだ。安住淳財務相は財務官僚のレクをいうだけで精一杯、小宮山洋子厚労相はしばしば問題発言をするため、国会審議を岡田氏で乗り切るのが目的だ。その点、官僚出身の岡田氏はそつなく答えるので、国会答弁で安定感がある。しかも、消費税増税では「原理主義者」なので、これほどうってつけの人物は民主党内にいないだろう。

 ただし、民主党内の反発もある。岡田氏は、小沢一郎氏に党員資格停止を申し渡した張本人。消費税増税に岡田氏が前のめりになるほど、党内の小沢グループは反消費税増税になるという構図だ。

民主党内の反対勢力は、消費税の法案提出の段階がポイントだ。9日付けの本コラム( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31527 )で、ここ20年間ほど、名目GDP伸率と名目雇用者所得伸率、名目GDP伸率と基礎的財政収支は、それぞれ9割程度の相関があることを示した。

つまり、名目GDPを増やせれば、所得は増加し、その結果として税種も伸び財政再建ができてしまうのだ。どの程度の名目GDP伸率になると財政再建ができるかも、この関係式からわかり、それは5%程度の名目成長でいい。少し歳出削減するなら、4%の名目成長でも財政再建は可能である。

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