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新年号特別企画
人生と仕事の極意をあなたに
成功者たちからの伝言
うまくいく人たちは何をどう考えるのか

 失敗があって、成功がある。これから登場する6人の経営者も多くの失敗を乗り越え、いまここに成功者として名を連ねている。だからこそ、彼らの話には価値があり、そして希望がある---。

経営とは金儲けではない

「実は今、私がマジックに凝っていて、東京の全従業員に『マジックができるようになれ』と指示を出しています。東京の店舗に行ったら、是非『マジックができますか?』と聞いてみてください」

 居酒屋チェーン『世界の山ちゃん』を展開するエスワイフード(愛知県名古屋市、売上高78億円・社員数166人)の会長・山本重雄(54歳)氏はそう語った。

 成功者の考え方は、少しだけ普通の人と違っている。実際、エスワイフードの会社理念には「変」宣言が掲げられており、〈我々は「変」であることを楽しみます〉〈我々は毎日「変」を磨きます〉などと謳われる。

 創業の経緯もまた、ちょっと変わっている。

「高校卒業後、自衛官の給食係になった。入隊後、偶然読んだ『あなたも1億円貯められる』という本に、焼き鳥屋は儲かると書かれていたからこの商売を始めたんです。若いうちに1億円貯めれば、あとは金利生活で遊んで暮らせると思うと胸が躍りました」

 24歳の時、名古屋で串かつ・焼き鳥屋「やまちゃん」を創業。メニューには「ボンカレー」や「永谷園のお茶漬け」をそのまま調理して出していた。加えて当時、名古屋では甘辛い味付けの手羽先が大流行しており、山本氏も早速、これを真似ようとしたのだが・・・・・・。

「所詮、料理人としては私は素人で、どうやっても甘辛い味が出せない。研究する時間もないから、合わせコショウを振りかけるだけでピリ辛味にしたら、これがウケたんです。それをきっかけに改良を重ねたスパイスで本物の味にし、お客さんの言った『幻の手羽先』をそのままキャッチコピーにしたら、さらに人気が出て看板商品になった。また、電話を受けたスタッフが『はい、世界の山ちゃんです』と受け答えをしているのをたまたま聞いて、これは面白いと、店名として採用したんです」

 結果、ユニークな社名が客寄せ効果につながり、店は大繁盛。山本氏は次々と店舗を増やす。経営は順風満帆だったが、思わぬ落とし穴が待っていた。

「社員が私についてこないんです。ある店では社員が一致団結して私を見下したので、全員をクビにしたこともあった。今にして思えば社員教育もあまりせず、『私みたいにカネを貯めろ』と言っていたので、『なんだ、この社長は』となったんですよね。私は経営者として、すっかり自信を喪失してしまった」

 不安に駆られた山本氏は自分を変えるべく、様々なセミナーに参加する。

「あるところで聞いた『経営者の役割は社員を守ることだ』ということばに強い影響を受けました。経営とは金儲け以上に、従業員を守ることが大切なのだと初めて気がついたんです」