サプライズなき内閣改造で野田首相の増税路線の実現はますます厳しくなる
〔PHOTO〕gettyimages

 野田佳彦首相がきょう1月13日に内閣改造に踏み切る。

 昨秋の臨時国会で一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長兼消費者相が参院の問責決議を受けた時点で、いずれ改造は必至だった。2人を続投させたままでは、まもなく始まる通常国会で野党が参院の審議に応じないからだ。だから、もともと今回の改造には意外感がない。

 首を傾げたくなるのは、野田自身が早くから13日の内閣改造を示唆していた点である。8日に福島県南相馬市を視察した際、記者団に「しっかりと態勢をつくっていく」と改造方針を語り、首相周辺が「改造は13日」という日程まで喋っている。

 それにとどまらず、11日には各紙が一斉に「岡田克也前幹事長の副総理起用案」を報じた。同日付けの毎日新聞によれば「複数の政府関係者が明らかにした」というから、官邸内で岡田の起用方針は10日時点で周知の事実だったのだろう。

人事で求心力を高めるはずが

 政権の求心力を高めるために、閣僚人事は有効な方策の一つだ。内閣支持率が落ちている中ではなおさらである。適齢期の議員は「次はオレも大臣になれるかも」と期待を膨らませ「しばらくは首相に逆らわず、じっとしていよう」という心理が働くからだ。

 だから改造は実施時期を明言せず、まして人事の具体案はぎりぎりまで秘匿するのが鉄則になる。「改造があるぞ、あるぞ」とにおわせつつ、じりじりと引き延ばせば、議員の口は重くなる。最後の瞬間に新人事をばっと発表すれば、意外感があるのでマスコミの報道も大きくなる。それで求心力も高まるというしかけである。

 ところが、今回のように何日も前から改造日程が明らかになり、目玉人事の中身まで報じられてしまうと、まるで新鮮味がない。

 改造自体はもはや関心事ではなくなって、岡田が受けるかどうかが焦点になってしまった。しかも岡田が受けたところでサプライズではなく、逆に受けなければ、そちらのほうがニュースになる。そういう展開である。

 なぜ、こうなったのか。

 首相周辺だけがマスコミ各社の情報源だったなら、その人物に「記者たちから一目置かれたい」という動機があったかもしれない。永田町は、目立ちたがり屋の世界である。だが、今回は野田自身が火をつけているのだから、それでは説明できない。

 そうではなく、野田が総理という最高権力の使い方をよく分かっていなかったためではないか。

 副総理案が事前に報じられた後で、岡田が受ければ、野田に貸しを与えた形になる。消費税引き上げという重い荷物を、あえて自分も背負う結果になるからだ。したがって、政権における岡田の発言力は従来にも増して高まるだろう。

 逆に受けなければ、野田が打撃を受ける。人事さえ思うままにならない首相になってしまうからだ。つまり受けても受けなくても、野田との関係では岡田優位になる。

 一方、最後まで岡田副総理案が漏れていなければ、逆に野田が優位に立った。岡田が断れば「野田政権に弓を引く」行為が明白になる。そこで押し切って受けさせれば、サプライズ人事を断行した指導力ある首相というイメージが高まる。

 そういう駆け引きが生じるからこそ、人事は秘匿が鉄則なのだ。

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