無視できないイラン情勢=新たな不透明要因が顕在化
原油価格の動向は、多くの主要国のエネルギー政策に影響を与える〔PHOTO〕gettyimages

 最近、海外の金融市場関係者とメールのやり取りをしていると、彼らが最近の中東情勢、特にイランを巡る情勢の緊迫化に神経質になっていることが分る。足元の中東情勢を整理すると、具体的な問題点は二つあるだろう。一つはイランの核開発問題であり、もう一つは、昨年来続く中東諸国に及ぶ民主化運動の流れだ。今後、それらの問題の展開次第では、中東諸国が大規模な混乱に巻き込まれる可能性がある。為替や株式などの金融市場にも、大きな影響を与える要素であることは間違いない。

 それが現実味を帯びてくると、原油価格の急上昇をもたらすことになるだろう。足元で原油価格が底堅い展開を続けている背景の一つには、そうした懸念が根強く残っていることがある。原油価格の動向は、わが国をはじめ多くの主要国のエネルギー政策に影響を与える要素だ。世界経済にとって、不安定な中東情勢は無視できない問題と考えるべきである。

 もう一つの民主化の流れは、チュニジアに始まり、それがエジプトやリビアにドミノの様につながり、足元では米軍が撤退したイラクやシリアなどにまで拡大している。特に、シリアの状況は悪化の方向を鮮明化しており、既に内戦の様相を呈していると言われている。さらにその流れが拡大すると、その延長線上には、中国や北朝鮮などへも広がる可能性を秘めている。

見のがせないイランの核開発リスク

 イランの核開発問題は、今のところ、民主化運動よりもはるかに大きなインパクトを含んでいる。国連の経済制裁や米国の幾たびかの警告にも拘わらず、イランは依然、核開発を継続している模様だ。特に懸念されるのは、北朝鮮などからの技術流入によって、イランが予想以上のスピードで核兵器開発を進め、それをミサイルに搭載可能な状況に至る危険性だ。

 それが現実味を帯びてくると、イランは、イスラエルに向けた核弾頭を搭載したミサイルを保有することが想定される。それは、イスラエルにとって許容できないリスクを含んでいるだろう。そうした事態の発生を回避するために、イスラエルはイランの核開発施設に打撃を与える可能性も出てくる。

 そうした懸念が現実味を帯びてくると、恐らく最初に影響が顕在化するのは原油先物市場だろう。投機筋をはじめ多くの投資家は、先物市場で原油を買い上げることだろう。そうなると、短期的に原油価格が高騰することが考えられる。サウジアラビア等の産油国は増産体制を強化して、原油価格の安定化を図るだろう。問題は、そうした対応策によって原油価格を安定化できるか否かだ。

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