COP17「新枠組み15年採択」決める
京都議定書延長を拒否した日本の薄い〝存在感〟[温暖化]

COP17の合意案を巡り話し合う中国、インドなど新興国の代表ら=南アフリカ・ダーバンで12月9日

 京都議定書後の地球温暖化対策の新枠組みを話し合う国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が昨年11月28日~12月11日、南アフリカ・ダーバンで開かれた。2日間延長された史上最長のCOPだったが、「京都議定書の延長」「新枠組みの15年採択、20年開始」などの歴史的合意を採択した。一方で京都議定書延長を拒否するだけで議論をリードできなかった日本の「存在感の薄さ」が際立った会議でもあった。

会議前に各国が求めていた「成果」は、次の内容だった。

(1)12年末で先進国の温室効果ガス削減義務期間が切れる京都議定書の延長
(2)「京都後」の新枠組みに向け、期限を区切った交渉を開始――。

 会議は、最後の最後まで決裂も想定された緊迫した展開が続いた。

 それは欧州連合(EU)▽米国▽中国▽インド――といった交渉の主役たちが、自らの「譲れない一線」を一歩も引かず、強気の交渉を続けたためだった。しかし結論から言えば、予想された成果の両方とも合意され、「ほぼ満点」で会議を終えた。

 交渉過程でEUは、多くの途上国や中印など新興国が求める議定書の延長に応じるとしながら、「新枠組みの交渉開始とセットだ」と高い条件を突きつけた。

 来年に大統領選を控える米国や、世界1位、3位の温室効果ガス排出国となった中印も他の先進国に、それぞれ条件を要求し、一時は主要国が見合って身動きが取れない状態に陥った。会議前の「期待値」は、必ずしも高くはなかった。

 各国の「譲れない一線」をくみ取り、「新枠組みに向け新たな作業部会を設置し、交渉を開始」「新枠組みには米中印を含むすべての国が参加し、15年採択、20年開始」「京都議定書は延長」などの合意点を見いだしたのは議長国の南アフリカだった。あえて言えば、強気のEUが結果的に、多くの果実を得た格好だ。

「92年体制」の終焉へ

 COP17の意義を一言でいえば、「92年・京都体制からの脱却の第1歩」だ。

 92年体制とは、1992年のリオ環境サミットで採択された「国連気候変動枠組み条約」「同生物多様性条約」という環境条約が、先進国と途上国を明確に分け、負うべき責任や義務に差をつけたことを指す。これが97年の京都議定書につながり、先進国だけが排出削減を義務づけられた。

 この間に米国が議定書から離脱(01年)した一方、今でも途上国扱いの中印など新興国が世界経済を引っ張るようになるなど国際情勢は大きく変わった。さらに日本、カナダ、ロシアは議定書延長を拒否しているため、13年以降の京都議定書は多く見積もっても世界の17%程度の排出量しかカバーしない。「京都」体制が、温暖化防止で十分に機能しないのは明らかだ。

 各国はこのことをよく理解しており、「京都延長」と同時にその先の「新枠組み」開始をも決めたCOP17は、「京都体制」の終わりの始まりも意味することになった。

 今後、13~14年には、温暖化交渉に大きな影響を与えてきた気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書が公表。さらに13年からは各国の長期目標の適切性を検証する「レビュー」や、それぞれの国の温暖化対策や削減実績などを詳述した「隔年報告書」の国連への提出も始まる。

 これらは新枠組みの基礎となり、交渉は「ダーバン・プラットフォーム」という新作業部会で来年から始まる。年に3、4回のペースで進む見通しだ。

 他方、世界が温暖化防止に取り組む本格的な体制づくりは8年間も先送りされたといえ、悪影響を懸念する声も多い。

 例えば世界エネルギー機関(IEA)は、「17年までに各国が適切な温暖化対策をとらなければ、排出量の多い施設が今後、数十年にわたって社会に存在し続ける〝ロックイン効果〟が生じてしまう」と警告する。

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