不安を抱える2012年の株式市場だからこそ、余裕と意欲のある投資家はあえて「リスク・テイクの報酬」を狙ってみてはどうか
【photo】Broomburg via Getty images

「予想はむずかしい。とくに未来については」という言葉がある。ヤンキースの元名捕手ヨギ・ベラ(皮肉が得意だった)の言葉として知られているが、実はもっと前に、物理学者のニールス・ボーアが発したものだとの説もある。内容的には全くその通りなのだが、それでも予想は面白い。

 新年のテーマとして、今年の日本の株価の「予想について」考えたい。エコノミストや証券マンにとって、株価や景気の予想は年中行事のようなものだし、新年にあたってこれらについて論じることが自然な季節感なのだが、率直に言うと、かつてよりも株価と景気、特に日本の株価に関する関心は随分低落した。

 証券会社で株価の予想を発表するのは「ストラテジスト」(投資戦略=ストラテジーの担当者)と呼ばれる人の役割だ。彼らが言うには、10年近く前から、顧客も支店の営業マンも一般投資家も、日経平均の見通しを質問することが減ってきて、代わりに海外の経済や為替レートなどに関する質問が増えたという。ある大手証券のストラテジストによると、5年前くらいの段階ですでに、支店を訪問した場合、日本株に関する質問は、営業マンや顧客の質問の半分もなかったという。

 また、投資家における日本株への関心低下に伴って、ストラテジストそのものがかつてほどの花形職種ではなくなった(個別の企業を分析する「アナリスト」の人気もかつてほどではない)。

20人中19人が「前半安値、後半高値」を予想

 日本株の人気低下の原因は三つある。

 一つ目は、長引くデフレからの脱却が出来ないことによる日本経済の停滞がもたらした株価低迷だ。端的にいって儲かっていないのだから、株式が人気を集めることは難しい。もっとも、株価が上昇して投資家が儲かれば、さらに誰かが儲かったことを知った周囲の人々が儲けた人を羨ましいと思い始めるようになれば、株式への人気は相当に回復するはずだ。

 二つ目の要因は、株式で儲けることに対して否定的な空気が生まれ、これがまだ残っていることだ。2006年のライブドア社への強制捜査から始まったいわゆる「ライブドア・ショック」の影響は甚大だった。熱心な投資家の多くが深手を負ったし、IPO(株式公開)がすっかり冷え込んでしまった。2005年までのIPOと新興企業のブームに些か危うい点があったのも事実だが、あまりにも乱暴に市場を壊してしまった。

 三つ目は、証券会社のリテール営業の重心が、日本株を離れて投資信託や外国債券にますます傾斜したことだ。今や、上場会社のコード番号を知らない証券セールスが少なくない。飛び込み営業のセールスマンも、分配金の大きな投資信託の話からセールストークを始めることが多い。長期的に考えると、日本の証券会社にとって、日本企業の株式は「主力商品」の一つであり続けるだろうと(少なくとも筆者は)思うのだが、証券業界はこの主力商品を育てる努力を怠ってきたし、些か粗末に扱い過ぎているのではないか。

 さて、近年不人気だ、とはいいながら、それでも「株価」の先行きは気になる。『日本経済新聞』(1月3日朝刊)に掲載されている企業経営者の株価見通しを見てみよう。

 隣のページに載っている経営者の景気見通しにもいえることだが、大企業経営者達の今年の株価見通しは、驚くほどよく似ている。経営者20人中19人が、株価は年の前半に安値を付けて、後半に高値を付けるパターンをイメージしている。

 唯一の例外は東芝の佐々木則男社長だが、佐々木氏も年間の安値は2月(7500円)で高値が6月(8800円)と、先に安くて、後が高いパターンを予想されている(この値幅で、この株価水準では、証券会社が何社か廃業に至るだろう。これは厳しい予想だ!)。

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