2012年に正念場を迎えるユーロ=“サルコジ・トレード"が奏功するか?

2012年01月01日(日) 真壁 昭夫
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 こうしたキャリー・トレードを、フランスのサルコジ大統領が言外に推奨していると言われている。そのため、ECBの資金を使った金利差取りのオペレーションのことを、金融市場では“サルコジ・トレード"と呼ぶ向きが多い。

“サルコジ・トレード"が上手く行けば、ECBが3年もの資金の供給を続けることによって、イタリアやスペインの国債市場の安定化が期待できることに加えて、金融機関の収益状況を改善することが可能になる。ユーロ圏の首脳としては、問題解決に向けた“魔法の一手"になりそうなスキームといえるだろう。

"サルコジ・トレード"に潜む大きなリスク

 しかし、この“魔法の一手"には、無視できない大きなリスクが潜んでいる。それは、購入した国債の価格が下落する懸念だ。安い金利で資金を借り、それを高い金利の国債で運用すれば、誰でも金利差を設けることができる。それは自明の事実だ。

 しかし問題は、購入した国債の価格が下げってしまうと、価格下落による損失が発生する。特に、足元のイタリア国債の価格は不安定で、今後の動向次第では、価格が急落することも懸念される。仮に価格下急落すると、金利差分の利益を吹き飛ばしてしまうことも想定される。それでは、結局、金融機関の収益状況を一段と悪化させることになりかねない。

 しかも、保有している国債の価格下落が鮮明化すると、金融機関が手持ちの国債をさらに売却することも考えられる。そうなると、ユーロ圏の国際市場は一段と不安定化することも想定される。その意味では、“サルコジ・トレード"には大きなリスクが潜んでいる。サルコジが勝つか否か、2012年初から予断を許さない状況が続く。仮に今回のスキームが上手く行かない場合には、ユーロは一段と厳しい状況に追い込まれることになる。

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