2012年に正念場を迎えるユーロ=“サルコジ・トレード"が奏功するか?
真壁 昭夫 プロフィール
〔PHOTO〕gettyimages

 2010年5月のギリシャの実質的な破たんに始まったユーロ危機は、ユーロ圏諸国の必死の努力によって何とか大きな混乱を回避してきた。しかし、ユーロ圏諸国が抱える不均衡という本源的な問題の解決への道筋は見えてこない。2012年には、イタリア国債が多額の償還期を迎える等のハードルがある。そこを上手く乗り越えることができるか否か、ユーロはまさに正念場を迎えることになる。

 2011年12月、ECB(ユーロッパ中央銀行)は、資金供給の長期化によって事態の収拾を図る方向を打ち出した。具体的には、それまで13か月が最長であった資金供給を、一挙に3年まで伸ばした。その背景には、ECBが長めで安価な資金(金利1%)を供給し、金融機関がその資金を使ってユーロ圏の国債を購入することを推奨する狙いがある。

 金融機関がイタリアやスペインなどの国債を購入すれば、それらの国債市場は安定を取り戻すことが期待できる。それと同時に、金融機関は国債の利回りと、ECBからの借入金利の差を収益として稼ぐことが可能になる。言ってみれば、一挙両得の効果を狙ったのである。

サルコジ大統領が推奨するキャリー・トレード

 ユーロ圏の金融機関がECBから1%で資金を借りて、その資金によって、一時6%台まで金利が上昇した3年物のイタリア国債を購入すると、約5%の金利差を収益として手にすることができる。こうした金利差を採りに行くオペレーションを、一般的にキャリー・トレードと称する。

 こうしたキャリー・トレードを、フランスのサルコジ大統領が言外に推奨していると言われている。そのため、ECBの資金を使った金利差取りのオペレーションのことを、金融市場では“サルコジ・トレード"と呼ぶ向きが多い。

“サルコジ・トレード"が上手く行けば、ECBが3年もの資金の供給を続けることによって、イタリアやスペインの国債市場の安定化が期待できることに加えて、金融機関の収益状況を改善することが可能になる。ユーロ圏の首脳としては、問題解決に向けた“魔法の一手"になりそうなスキームといえるだろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら