貯めて増やす横山式
第一回 家計管理は目に見える数字を意識する

 私は家計再生のコンサルタントとして累計で5300人以上の相談を受けてきました。

 特に『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『35歳からの超貯蓄術』(朝日新聞出版)などの書籍を出してからは相談依頼の数が増えており、近年は平均すると月に50人以上の方にお会いしているでしょうか。

 なかでも年末は毎年のように相談が急増します。年末はだれでも今年一年を振り返る季節です。「今年も結局、貯金できなかったなぁ」と反省する気持ちがわいてくるというが、一つの理由でしょう。また、市販の手帳や家計簿はほとんどが1月始まりになっているのも関係しているのかも知れません。

 新しい家計簿や手帳を手に入れたのをきっかけに、新年から家計の見直しを始めたいと考える方が、12月のうちに貯められる体質作りについて勉強したいと考え、私のところに相談に訪れるのでしょう。おかげで毎年年末はギリギリまで文字通り寝る暇もないほど走り回っています。

 読者の中にも来年に向けて年末の間に家計管理について考えて見よう、と考えている方はきっと多いのではないでしょうか。ところが、いざ具体的に始めようと考えると、いきなり壁にぶち当たることが少なくありません。

 書店に行けば、家計やマネーに関する書籍や雑誌が並んでいるのですが、どれを手にとっても今ひとつピンと来るものが少ないからです。これは私も以前から気になっていたことですが、世に出回っている貯金方法や家計管理に関する情報は、結婚している主婦や若い女性を対象にしたものがあまりにも多いようなのです。

 もちろん、そこに書かれている内容は間違っているわけではありません。実践できれば、それなりの効果が出るものがほとんどでしょう。問題は、あまりにも対象が限定されているため、それ以外の人がやってみようと思える内容になっていない可能性があることなのです。

 言うまでもありませんが、お金を貯めるとか、やりくりをするというのは、家計を管理している人、一般的にいうなら主婦や女性の方々だけが行う時代ではありません。これだけ不況で先行きの不透明感が高まり、実質的な収入減が続いている現代においては、ビジネスパーソンや経営者であっても、経済や会計知識のスキルを身に付けるのと同様に、家計の管理やお金のため方を習得する努力をするべきなのです。ところが、そこに向けた情報があまりに少なすぎるのではないでしょうか。

 たとえば、コンセントを全部抜いて寝るとか、一食何百円以下で作るとか、安い豆腐を買いに遠くのスーパーまで買いに行く・・・などがその典型ですが、こうしたこれまでの美徳とされた教科書的なやり方では、忙しいビジネスパーソンには到底馴染みません。少なくとも私自身、そんなやり方はたとえ知っていても実行できないそうにありません。

 できればそれなりの効果はあるでしょうが、現実問題としてそんな暇はありませんし、もっと言えばそれだけの手間をかけても得られる効果は大きくないことは明らか。つまり、これまで広く伝えられてきた節約や家計管理の方法は、費用対効果の面でまったく非合理的なものが少なくないのです。