財務省とのなれ合いで自民党政権時代よりも10兆円以上歳出が増えた民主党政権。大増税に導く2012年度予算はこんなにデタラメだ
【PHOTO】Bloomburg via Getty Images

政府は24日、2012年度予算の政府案を閣議決定した。一言で言えば酷い予算だ。消費税増税を飲めと言わんばかりだ。

予算案は量が膨大なので、日頃不勉強なマスコミでは閣議後はすぐに記事が書けない。そこで、マスコミは事前に財務省から解禁時刻までは報道しないというエンバーゴ(もともと海運用語)付きが右上に表示されている資料を渡される。その際、財務省官僚からのレクも受ける。マスコミはその財務省資料をほぼそのまま書き写して新聞解説を書いているのだ。予算の国民生活への影響などはその典型例だ。

もちろん内容は財務省の資料やレクチャーそのままだが、各マスコミともにパクリがばれないように表現は変えている。エンバーゴ付き資料の時の官僚のレクを理解できない者もいて、その後も問い合わせてくる。そのときに追加レクして記者を懐柔し、役所に都合よく誘導できる「ポチ」と手なずけるのはたやすい。

こうした事情から、各マスコミとも、12年度予算で「国債依存度、過去最高」という似たり寄ったりの記事になっている。

歳出額が自民党時代よりも11兆円も増えた民主党政権

ところが、さすがに12年度予算は、震災復興特会3.8兆円、年金交付国債2.6兆円の一般会計の別建てと素人でもわかる予算操作だったので、マスコミも予算の水ぶくれがわかり「粉飾」との言葉も出てきた。

どの程度なのか、小泉政権以降の自公政権からリーマンショック時の麻生政権を除いて、民主党と比較してみよう。2010年度までは決算額、2011年度は2次補正まで、2012年度は当初予算に年金交付国債2.6兆円を加えた歳出総額でみる。こうすれば、民主政権でも本格的な震災復興経費が除かれて自公政権との実力ベース比較ができる。


2001-08年度の小泉、安倍、福田政権の平均歳出総額は83.6兆円。一方、2010-12年度の鳩山、菅、野田政権は平均94.3兆円とその差は10.7兆円。

ついで、国債発行額でも同様な比較をしてみると、2001-08年度の小泉、安倍、福田政権の平均歳出総額は31.6兆円。一方、2010-12年度の鳩山、菅、野田政権は平均44.4兆円とその差は12.8兆円。歳出総額の差より大きくなっているのは税収が落ちていることが大きい。為替レートと一般会計税収には円安になると税収が大きくなるという関係がある(11月12日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/27252 )にもかかわらず円高を放置したからだ。

民主党マニフェスト(子ども手当、高速無料化、農家戸別所得補償、八ッ場ダム中止、議員定数削減、公務員総人件費2割カット)が達成されていないのに、なぜ自公時代より11兆円も増えるのか。

その原因をさかのぼっていくと、政権交代時にある。2009年8月の総選挙で政権交代を果たした時に、民主党内で閣僚人事を巡り争いになって、以前から必要性が言われていた政権移行チームが作れなかった。閣僚人事の先取りとなるという理由だ。そのため、2009年9月から本格化する予算編成に出遅れた。本来であれば、予算シーリングをかけて、民主党の新政策を各省に指示すべきだった。ところが、予算編成に遅れた上に、予算シーリングをかけずに、各省に新政策を求めた。当然政府内の予算組み替えはできず、自公政権の旧政策の上に民主党の新政策が乗った形になった。これがそもそも水ぶくれの原因だ。

事業仕分けも実効性がなく、民主党が政権交代前に豪語していた予算組み替えも不十分で、予算はおおきく膨らんだ。自公政権末期の麻生政権では、リーマンショックもあったが、官僚のいいなりで補正予算で歳出総額が膨らんだ。その後政権交代したが、その間隙を縫って、官僚が予算を既得権化したともいえる。

その翌年度からはシーリングが復活したが、いったん膨れあがった予算がベースなので、厳しいシーリングではなく、予算を既得権化しただけだ。いずれにしても、官僚の無駄遣いに切り込めていない。

財務省は野田政権を意のままに操っている。財務省は11兆円も膨れあがった予算をそのままにして、その分を消費税増税10%でまかなうという魂胆だ。各省も予算既得権が確保されるのでその話にのっている。

 だから予算折衝もなれあいだ。例えば、「粉飾」といわえる年金交付国債2.6兆円だ。財務省は120兆円ある年金積立金(2011年3月末)の取り崩しで対応すべきとの意見だったという。これは正論だ。

 国民の多くは誤解しているが、公的年金は積立方式ではなく賦課方式である。要するに現役世代の払った保険料はほとんど年金給付に使われている。この方式では積立金はほとんど不要だ。今年2.6兆円をつかっても、次回2014年の財政検証時に次の保険料で調整できる程度の話だ。厚労省は、積み立て方式と国民が誤解しているのをいいことに、積立金の取り崩しは問題だと感情に訴えマスコミを煙に巻く。

 一方、財務省には自分のところの国債整理基金は取り崩していないといい、他省のカネに手を突っ込むならば、まず自ら身を切れという。これには財務省も反論できない。というのは、9月26日付け本コラム( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/20747?page=4 )で指摘したように、財務省も国債整理基金で10兆円ほど余分に資金を持っているが、それを絶対手放さないからだ。

 かくして、厚労省の年金積立金には手をつけずに、将来の増税を確約させる財務省にとってもメリットになる交付国債に落ち着くのはほとんどシナリオどおりだ。

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