長谷川幸洋「ニュースの深層」
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つぶれかかった会社に税金をつぎ込み利権化する「東電国有化」は最悪の選択だ

2011年12月23日(金) 長谷川 幸洋
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〔PHOTO〕gettyimages

 東京電力を政府が実質的に国有化するという報道が相次いでいる。読売新聞が12月21日付け朝刊1面トップで報じると、朝日新聞と日本経済新聞も同日夕刊の1面トップで追いかけた。東電は読売の報道をホームページで否定したが、どうやら政府部内で東電国有化が検討されているのは間違いなさそうだ。

 10月に発表された経営・財務調査委員会の試算によれば、1年以内に原発を再稼働したとしても、値上げしなければ2013年度に純資産が873億円に落ち込むと見込んでいた。これに膨れあがる廃炉費用や火力発電に伴う追加の燃料負担を加えると、どうみても資産超過から一転して債務超過への転落は必至である。

 今回浮上した国有化案は、そんな経営実態を踏まえて、政府が原子力損害賠償支援機構を通じて1兆円規模の公的資金を投入するという内容だ。各紙によれば、それでも足りず、電気料金を10%値上げしたうえ、定期点検で停止している柏崎刈谷原発を再稼働するという。

 日経は22日朝刊で来年4月から工場など企業向け料金を2割前後値上げすると伝えた。すると、東電はその日のうちに西沢俊夫社長が記者会見し、企業向けだけでなく、家庭向けも10%程度の値上げを来春にも申請すると発表した。

 この東電国有化と値上げ案をどう考えるか。

 政府と東電に求められているのは電力の安定供給を確保したうえで、国民負担を最小化しつつ、福島第一原発事故の被災者に対する十分な賠償と除染、さらに安全な廃炉である。この目標を達成するために、どういう方法が望ましいか、という問題である。

 まず「13年度にも債務超過に陥る」のは、経営が破綻するという話だ。それはいまになって突然、あきらかになった話ではない。初めから分かっていた。賠償と除染費用が巨額に上るからだ。10月時点で廃炉費用の見積もりが甘いという指摘もあった。

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