雑誌
ふざけるな! 「公務員天国」 バラ色の給料とトンデモ手当
大反響第2弾 本当にギリシャになるぞ!

給与削減案が見送られるばかりか、
賞与は4.1%アップ! 
手厚い手当には「独身手当」「出世困難手当」まであった!
そして、原発事故を招き"更迭"された
経産次官らには割り増しの高額退職金が!

 東京近郊の高級住宅地---。平日の午前、優雅に大型犬を散歩させている男性がいた。経済産業省の前事務次官、松永和夫氏(59)である。今年8月、原発関連シンポジウムの「やらせ」問題などの責任を問われ、菅直人首相に「更迭」されながら、約7500万円の退職金を手にしたことで話題になった高級官僚だ。"クビ"になりながらも、割り増し分の約1100万円が含まれた「退職勧奨手当」が適用されて、国民の憤激をかったのは記憶に新しいところ。現在は経産省の顧問を務めている。

割り増し分1100万円を含む約7500万円の退職金を手にし、現在は経産省顧問の松永和夫前事務次官[PHOTO]船元康子

 散歩の途中、直撃した。

 ---おはようございます。更迭されながら、割増退職金が高いと批判の声が出てはや4ヵ月たちました。

「やめてください」(質問をさえぎる)

 ---返上する気持ちはありませんか。

「・・・」(下を向いたまま無言)

 ---公務員の冬のボーナスも昨年より上がり、民間との格差が広がるばかりです。どう思われますか。

「・・・」(無言のまま自宅の敷地に)

 ---きちんとお答えください。

「コメントしません」

 怒ったような口調でこう言うと、自宅玄関に犬と一緒に入っていった。

 全国紙政治部記者が解説する。

「今年8月、菅首相は、松永氏と寺坂信昭・原子力安全・保安院長、細野哲弘・経産省資源エネルギー庁長官の3人を更迭する方針を固めた。福島第一原発事故の対応への不満や、原発シンポで原子力安全・保安院が、四国電力や中部電力に、やらせを要請していた責任をとらせようとしたわけです。

松永氏の退官を受けて経産省の事務次官に就いた安達健祐氏。直撃には、「広報室を通して」とのみ話した[PHOTO]郡山総一郎(以下同)

 しかし、当時、菅首相はすでに退陣を表明し、死に体の状態で、狙いの経産省刷新はならず、結局、単なる人事異動で終わった。その結果、3人は巨額の退職金を手にすることになったのです。ちなみに、寺坂、細野両氏も割増金1100万円がプラスされ、約6700万円の退職金をもらっています」

 彼らトップ3人は、いわば原発事故の「戦犯」である。それなのにこの手厚い退職勧奨手当が適用されたのだ。

人事院総裁の「暗躍」

 公務員の優遇を追及した本誌先週号の特集記事「怒れサラリーマン!『公務員天国』」は大きな反響を呼んだ。消費税をはじめ国民への大増税が画策されている中、いまだ改善の兆しが見えない公務員の数多の優遇策。今回は追及第2弾として、公務員の給与と信じられない手当の実態にスポットを当てる。

本誌が質問を続けると、無言のまま矢のように走って行ってしまった

 12月9日、国家公務員に冬のボーナスが支給された。管理職を除く一般行政職の平均は約61万7100円(平均35・8歳、2・02ヵ月分)。なんと、昨年冬の約59万2900円から4.1%アップである。ちなみに、事務次官は約301万円、局長クラスで約229万円だ(支払いモデル)。

 一方、民間企業の今冬のボーナスの平均は約37万8000円(民間シンクタンク調べ)で、前年比0.3%の減少。これで3年連続のマイナスとなり、国家公務員と民間企業の差は約24万円。国と地方公務員の平均は76万5000円だから、さらに差が開き、実に民間の2倍以上となる。

 公務員がホクホクなのはボーナスだけではない。政府が進めていた給与削減案がまんまと見送られたのである。今年6月、菅政権は震災復興の財源にあてるため、公務員の給与を2年間にわたって平均7.8%引き下げる「国家公務員給与削減特例法案」を国会に提出した。が、野田政権に代わり、国会は12月9日に閉幕。一応、継続審議とはなったが、成立する見通しはない。全国紙政治部デスクが言う。

「政府が公務員給与の引き下げを打ち出すと、江利川毅・人事院総裁は、『人事院勧告を無視するのは憲法違反だ』と国会で答弁して反撃。人事院勧告の0・23%下げを実施するよう求めた。そして民主党内の自治労の支持を受けている議員らが給与削減案に反対。結局、党内がまとまらず、時間切れとなってしまい、満額が支給されたのです」

 公務員にとっては、まさに江利川さまさまだ。人事院は内閣の所轄だが、独立性が強く、給料をはじめ公務員の処遇を牛耳っている。特に、江利川氏は、内閣府と厚生労働省で2度事務次官を務めた大物。「双方の退職金を試算しただけでも、すでに8000万円は受け取っている。生涯年収で言えば、現時点でも5億円は下らないはず」(前出・政治部デスク)というのだから、江利川氏が公務員の利権死守に燃えるのも当然か。民主党の若手議員はこう言う。

「人事院は一見、静かだが、実に政治的な動きをする。自民党は官公庁の労働組合とナアナアだったが、公務員給与引き下げを掲げて政権交代した民主党政権に対しては、江利川総裁を中心に様々な仕掛けをしてくる。人事院勧告といえども、国会の承認がなければ実施されない。人事院は政府に口を出すなと言いたい」

 民主党議員がいくら怒ってみても、継続審議となった結果を見れば、空しいばかりだ。かくして、公務員給与は満額支給となり、ボーナスもアップして、懐が寂しいサラリーマンをよそに、ウハウハの高笑いなのである。『独身手当 公務員のトンデモ給与明細』(新潮文庫)の著者で公務員問題を追及するジャーナリスト・若林亜紀氏が指摘する。

「なぜ公務員の給料が下がらないか。一つの理由は、公務員の給料は民間に準拠して決めることになっていますが、その民間準拠が恣意的だからです。人事院が調査するのですが、例えば、課長の中身が民間と公務員では全然違う。国家公務員の38%、地方公務員の60%が課長補佐以上の管理職です。これに対し、民間企業で課長以上は従業員の9%。出世競争を勝ち抜いて管理職になる民間と、黙っていても管理職になれる公務員とでは、中身がまったく違うのに、給料のレベルを一緒にするのはおかしい」

 公務員の優遇はまだある。

「国家公務員の給与は、基本的に毎年二重に上がります。基本給分のベースアップがあり、1年ごとに昇進して定期昇給もある。民間企業は大手でも定期昇給があるとは限らないし、中小企業にはないところも多い。民間との差が大きくなる一方です。公務員には民間にあるような人事の査定も実質的にありません」(前出・若林氏)

 そして何より、この高給に加えて様々な「手当」が支払われている。民間企業でも各種手当はあるが、公務員には信じられない手当が多数存在するのだ。上の表を見ていただきたい。サラリーマン生活では聞いたこともないような奇妙な手当が並んでいるのが分かる。

 おかしなものを拾ってみると、例えば国家公務員の「奥様手当」。

東京・木場。奥に見える36階建ての高層棟は、公務員宿舎「東雲住宅」。手前では新庁舎の建設が進んでいた[PHOTO]蓮尾真司

「ニューヨークにある財務省の事務所で働く官僚には、本給の他に海外赴任手当が月30万円、住居手当21万円、子女教育手当が一人につき1万8000円以上、配偶者手当6万円(40歳)が付きます。さらに、家に客を招いた場合、客1人につき5000円が出る。接待する奥様用の手当というわけです」(前出・若林氏)

 厚労省には「窓口手当」というものがある。ハローワークで働く公務員は、失業者に接するので「精神的な緊張が強い」という理由で平均月5000円の手当を支給している。

「困難な仕事に携わる職員に適用される『俸給の調整額』のことですね。ただし、困難な業務従事者であることが条件で、すべての窓口担当者に適用されるわけではありません」(人事院・給与局)

 地方公務員にも噴飯ものの手当がある。例えば「地域手当」。大阪府の職員が東京23区で働く場合、給与の13%が地域手当として加算される。物価が高いことなどが理由だが、大阪府から出向して東京事務所で働く職員の家賃もまた、超格安だ。例えば、世田谷のテラスハウスは月8800円で済む。さらに不思議なのは、大阪府内の事業所に出向しても給与の10%が支払われることである。

 群馬県高崎市では、未婚で45歳になると、全職員が加入する職員厚生会から現金3万円が支給される。正式名称は「単身者給付金」で、いわば「独身手当」だ。

「結婚した職員には、同じく3万円の結婚祝い金が出るので、不公平感をなくすための制度です」(高崎市役所職員課長)

 厚生会員の積立金が原資なので、いわゆる給与手当とは異なるが、わざわざ「単身者給付金」との名目で独身者にも祝い金を出すセンスこそ、不公平を嫌う公務員を象徴する制度と言えるだろう。

 大阪府にはその名もズバリ、「出世困難手当」がこの3月まであった。

「ポストの空きが足りないなどで出世できない職員に、同期の間の給与格差をなくすために支払われる手当です。例えば、課長を2年やっても次長になれない職員には、次長並みの最大で年100万円の手当を加算する。さすがに、橋下徹前知事(現大阪市長)が今年3月に廃止した」(全国紙府政担当記者)

 公務員は定年退職した後も、年金で優遇される。先週号でも取り上げたが、基礎年金と比例報酬部分の2階建てからなる厚生年金に対して、公務員が加入する共済年金には、さらに「職域加算」という3階部分がある。例えば、ともに月収40万円の人がそれぞれ38年間勤めた場合、公務員のほうが年額で21万円も多く年金を貰えるのだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏は、さらにもう1点指摘する。

「60歳以降も働きながら年金を受け取る場合、在職老齢年金という制度があります。給料と年金月額の合計が一定額を超えると、年金が全額または一部カットされる制度ですが、民間と公務員で基準(合計額)に差があるのです。60〜64歳の場合、民間だと月収額が28万円を超えると年金額の一部が差し引かれます。しかし公務員の場合は、月46万円までの収入なら、年金が全額支払われる。ともに月収37万円の場合、公務員のほうが月9万円も多く年金がもらえる計算になる。5年間だと、540万円も差が付きます」

 公務員栄えて国滅びる---。まさに、「ギリシャ悲劇」の再現だ。

「フライデー」2011年12月30日号より

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら