福島瑞穂さん、
なんでまだ政権にいるの!?

 紛糾と迷走を続け、鳩山政権にとって致命傷になるかもしれないと言われる、米軍・普天間基地(沖縄県・宜野湾市)の移設問題。だが鳩山首相が立ち往生する前に、すでに切羽詰まった立場に追い込まれている人物がいる。社民党党首の福島瑞穂消費者担当相だ。

 小沢一郎民主党幹事長の工作によって、自民党を離れた田村耕太郎参院議員が2月9日に民主党の会派入り。これで民主党は、国民新党、新党日本などと合わせ、社民党抜きでも参院の過半数(121)を確保することに成功した。連立与党の一方の代表として、閣僚ポストを得た福島氏だったが、一転、「捨てられる」危機に晒(さら)されている。

 思えば福島氏の鳩山政権への献身ぶりは、涙ぐましいものがあった。

 社民党と言えば、かつて国会で鈴木宗男・現新党大地代表のことを、「疑惑の総合商社」と糾弾した辻元清美代議士を擁する政党だ。党は小なりとはいえ、「政治家の金銭スキャンダルを許さないクリーンな政党」として、本来は国政の場で貴重な存在感を示してきた。

 ところが、連立政権に加わったとたん、巨大政党・民主党の顔色を窺う日和見集団に。党首の福島氏からして、「太客を逃がすまいと必死になっている売れないホステス」(民主党中堅代議士)と侮られる始末だ。

 実際、一連の政治資金疑惑を巡り、小沢氏が政治倫理審査会に出席するべきか、その賛否を明らかにするよう国会で求められた際も、福島氏は「ご本人がきちっと説明されたらいい」などと煮え切らない答弁を連発。自民党の加藤紘一元幹事長から、「逃げの福島」と皮肉られている。

「『小沢氏にもっとも頻繁に電話をかけているのは彼女』と失笑されるくらい、福島氏は民主党、特に小沢氏との関係維持に必死です。福島氏は普天間移設問題を巡って身内の阿部知子議員と対立するなど、党内基盤が弱い。小沢氏や亀井静香金融担当相との関係をアピールすることで、なんとか求心力を保っている状態です」(全国紙政治部記者)

 今年夏の参院選で、自身も改選を控える身の福島氏にしてみれば、いま連立与党から排除されてしまえば、社民党という党の存続も、自身の再選も危ないと考えているのだろう。それを避けるためには、「疑惑は許さない」という政治家としての理念をかなぐり捨ててでも、小沢氏を守り、民主党との関係を守らねばならないのである。

どうせ捨てられるんだから

 ところが冒頭で紹介したように、その福島氏の政界遊泳術にも、いよいよ綻びが見えてきた。普天間移設問題を「5月末までに結論を出す」と内外に宣言してしまった鳩山政権は、政権交代前の公約を反故にし、「沖縄県内への移設もやむを得ず」との結論を強引に導き出そうとしている。

 基地の県外移設は、「沖縄県民の命を守る」として、社民党が党是に近い形で高らかに掲げてきた方針だ。それが政府の都合で反故になってしまえば、社民党は民主党以上に大ダメージを負うことになる。

「政府側では北澤俊美防衛相らが、名護市にある米軍のキャンプ・シュワブ内に移転をするプラン(キャンプ・シュワブ陸上案)を進めようとしています。これは'05年の小泉政権時にいったん俎上に載りましたが、米国と沖縄の双方から異論が続出し、すでに消えたプラン。
しかし鳩山政権は、もはや他の選択肢では5月末の期限に間に合わせるのが不可能なため、このプランに縋(すが)っているのです」(民主党幹部)

 もちろん福島氏以下、社民党は表向き、この陸上案に猛反対している。福島氏は2月24日の会見でも、

「沖縄県議会で、普天間基地の移転は県外へ、という決議が出た。その思いを大事にして社民党は頑張っていく」「(5月末の期限は)問題の真の解決に比べれば二次的なもの。それに遅れることがあっても、問題の解決を丁寧に考えるべき」
と、政府内の「県内移設強硬派」を牽制した。

 だが残念ながら、福島氏の叫びは、"遠吠え"に終わる可能性が高そうだ。

「5月末に間に合わなければ政権自体が危うくなるので、鳩山首相らも必死です。民主党内からは、『社民党も沖縄の地元も、政府が方針を決めれば最後は黙る』『どうせ社民党は連立離脱なんてできっこない』と、足元を見るような意見が広がっています。亀井氏が羽田空港で小沢氏にバッタリ会い、陸上案について説明した時も、小沢氏は『オレは政策には口を出さないから』と、事実上、県内移設を黙認する姿勢を見せた」(別の民主党中堅代議士)

 せっせと営業電話を入れ、懸命に関係を保ってきた"社長さん"の小沢氏にも、ついに福島氏は見捨てられかけているということだ。こんな屈辱を受けてまで、社民党は連立政権に留まっている必要があるのか。いっそのこと、政権を飛び出して自らの旗幟(きし)を再び鮮明にしたほうが、社民党にとっては先の展望が開けるのではないのか。

 本誌は、福島氏にインタビューを申し込んだ。なぜ党是や理念を曲げてまで、民主党にへばりついて連立に固執しているのか。だが福島氏はインタビューに応じず、代わりに取材に応対したのは、社民党国対委員長の照屋寛徳(かんとく)氏である。

― 普天間の移設問題が紛糾している。

「私はシュワブ陸上案も、不可能だと考えている。基地の運用面で安全性が担保できないこの案では、地元の理解が得られない。実力行使で抵抗する県民も出てくると予想されます」

― それでも、政府が県内移設を強行した場合、社民党はどう対応するか。

「そうなることはあり得ないと考えるが、万が一そうなった場合は、もちろん党を挙げて反対します」

― その場合は連立離脱も辞さずということか。

「そうです。連立にこだわり過ぎて理念を失えば、社民党自体が消えてしまう」

― 社民党内の一部には、「いっそのこと民主党に合流すべし」という声もあるようだが。

「そういう議員がいるとは承知していない。ただ各議員の間に、選挙協力などを巡り、民主党との関係に温度差があるのは確かです」

 福島氏と社民党議員は、過去を振り返り、省みるべきだ。かつて自民党に次ぐ国政第2党だった旧社会党は、17年前、「政権を獲れる」という小沢氏に乗せられ、細川政権に参加した。すると与党の味を忘れられなくなり、ついには自民党とも野合。村山富市元首相を出しながら、結果的には国民世論の失望を招き、旧社会党は崩壊した。

 いまの状況は、あの時とそっくりに見える。社民党は政権に固執するあまり、壊れかけの鳩山政権と、自らの運命を共にしようとしている。

 以前と違うのは、次に招く結果は党勢衰退ではなく、おそらく「消滅」になるだろうということ。福島さん、民主党に捨てられる前に、民主党を捨てる―これこそが生き残る唯一の道だと思いますが。

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