中国
金正日死去で米中「新冷戦時代」が始まるのか!中国の本音は「ポスト金正日体制は金正恩政権よりも朝鮮人民軍強硬派の支配」
新政権は来年4月まで持つのか
〔PHOTO〕gettyimages

 12月19日、北朝鮮の独裁者・金正日総書記(享年69)が17日に死去したことが、北朝鮮当局によって発表された。今年はアメリカが敵対視していた「西のカダフィ」に続き、「東の金正日」も滅んだことになる。ここ北京では、中国メディアが、19日昼以降、大量の北朝鮮報道を流し続けている。

 それら中国報道を見ていて、金正日の死は、21世紀の「米中冷戦時代」の幕開けを意味することになるかもしれないと思った。いまや周知のように世界は、急速にG2(米中)時代へと向かって突き進んでいる。先進国代表・アメリカと、新興国代表・中国との角逐によって、世界の趨勢が定められていく時代である。

 世界最強のアメリカ軍は、イラクからの撤退が完了した現在、明らかに次なる目標を、「中国包囲網」に定めている。実際、東アジアに位置する多くの国・地域は、軍事的にアメリカに依存している。日本、韓国、台湾、フィリピン、タイ、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド・・・。

スイスに留学しハリウッド映画を見て育った後継者

 そんな中、中国にとって、長年にわたってアメリカと敵対する頼もしい隣国が、3ヵ国だけあった。ベトナム、ミャンマー、そして北朝鮮である。

 一番先に「脱落」したのは、前世紀に共にベトナム戦争を戦ったベトナムだった。ベトナムは、ベトナム戦争終結20周年の1995年に、アメリカと国交正常化を果たした。そして今年はついに、南沙諸島の権益を巡って中国と対立したのを契機として、アメリカと合同軍事演習を実施するまでになった。俗な言い方をすれば、中国からアメリカに寝返ったのである。

 次に「脱落」しかかっているのが、ミャンマーである。ミャンマーを巡る最新の情勢は、先々週のこのコラムで詳述したが、11月30日に、クリントン国務長官が56年ぶりのミャンマー訪問を果たすまでに、アメリカとミャンマーの関係は回復した。3月に発足したミャンマーのテイン・セイン政権は9月30日、中国との「友好の象徴」であるミソン・ダム建設を破棄すると発表し、アメリカへの証を立てた。このまま両国関係が進展すれば、来年中にはおそらく、両国は国交正常化を果たすに違いない。

 こうして中国にとって、世界最強のアメリカと対峙する「最後の砦」が、北朝鮮となりつつある。金正日という独裁者は、「アメリカの盾」という点においては、これ以上ない頼もしい存在だった。アメリカを威嚇する2度にわたる核実験と、数多くのミサイル売却。

 加えて、アメリカの同盟国である日本の民を拉致したかと思えば、同じく同盟国の韓国の民間機を爆破し、島には砲撃を加えた。そんな倣岸不遜な北朝鮮に、アメリカは過去20年間にわたって、翻弄され続けた。再び俗な言い方をすれば、金正日はアメリカという「正義の味方」に立ち向かう「悪役スター」だったのだ。

 ところが、後継者の正恩は、「子役の脇役」でしかない。スイスに留学し、ハリウッド映画を観て育った、柔な28歳の青年だからである。本心では、中国よりアメリカに憧れていることは、容易に推察できる。

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