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特集 地震 ドライバーは、そのときどうする。

 2011年3月11日14時46分頃、日本史上最悪の災害が三陸沖を襲った。東北地方太平洋沖地震。マグニチュード9・0と発表され、全世界でも計測史上4番目に大きい地震であった。

 その甚大な被害は今もTVや新聞などで報じられ続けており、本誌も深い哀悼の意を捧げ、一刻も早い復興を祈っている。

 東北・北関東地方にも多くの読者を抱える本誌としては、この号がそうした読者のもとに届き、ひとときの安らぎを得ていただきたいと痛切に願っている。しかしただそれだけではなく、これを契機にさらなる災害に備えることも重要な責務。

 いたずらに不安をあおるつもりはまったくないが、知っておくことが必要だ。それにより対策、対応が生まれるからである

 さてまず今回の地震に関してだが、一般的には宮城県沖で発生したM9・0、震度7の地震が今回の大災害を引き起こしたと思われているが、実はそうでなく、11日から12日にかけて、何度も震度5以上の地震が日本列島を襲っている。

 それを踏まえて、図(2ページ)は文部科学省の地震調査研究推進本部が発行する「全国地震動予測地図」をもとに、本誌が作製した「ここ30年で地震が起こる可能性が高いポイント」だ。

 ほとんど日本全国どこでも危ない状態であることは間違いないのだが(一説によれば世界で起こる地震のうち10%が日本および日本近海で発生しているという)、さらに書いておかねばならないことがある。

 では日本列島のなかでも比較的危険度が少ない地域を見ていこう。まず北海道内陸部、それに本州日本海側全般があげられる。中国地方も全般的に安全だが、日本海側の鳥取や島根のほうがより地震の可能性は少ないといえよう。中部地方も比較的プレートや火山の活動が少ない地域といえるが(フォッサマグナ除く)、油断は禁物だ。

なお、この予測図では、今回の地震が起きた三陸沖は「M7が10%程度」、宮城沖が「M7が90%」と見積もられていた(実際は福島県沖、三陸沖、茨城沖地震と連動して震度は増幅しM9まで上昇した)
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 またもう一点。本企画のために京都大学防災研究所地震予知研究センターに連絡をとると、恐るべきことを語ってくれた。それは「東海地震(M8程度)、東南海地震(M8・1程度)、南海地震(M8・4)の群発」の可能性である。

「今回の地震は宮城県沖、三陸沖南部海溝寄り、福島県沖といくつかの震源地が連動したものでした。それと同じ規模のものが、今度は東海沖を震源として発生する可能性があります。つまりM9クラスの地震が今度は東海地方を襲う可能性がある。しかも東海沖地震は、近い将来必ず起きると言われている。日本国民は、常に心構えをしておくことです」

 とは研究センターの橋下教授。今回の震災で日本は再び立ち上がるだろう。その時は、新たな震災にも耐えうる国家に生まれ変わっていてほしい。

大地震 その時どうする!?『7ヵ条』

 運転中に地震に遭遇するとどうなるのか、今回の地震を首都高速上で体験した弊社別冊編集部坂本によれば、

「クルマが横に揺れ始めて、クルマの足回りのトラブルか? 地震? などと思っていたら、激しい揺れでクルマをゆすられ、首都高速の外灯がグニャグニャと折れそうなほどしなっているのが見えた。停車したもののどうしたらいいかわからなかった」と話している。今回の地震、運転中だった人も多いだろう。

 そこで、運転中に遭遇した場合に、どのような行動をとることが正解なのか。何に注意をして、どう行動したらいいのかを調べてみた。

●その1 郊外を走行中はクルマから離れて!

 運転中に地震が起きた場合、ドライバーはどうすべきか。ここでは警察庁が作成した災害時対応マニュアルを紹介する。

まず一般道路では、

○衝突などしないように注意しながら、交差点を避け左側に寄せて停車しましょう。
○近くに駐車場や空き地があれば、そちらに移動しましょう。
○緊急通行車両が通行できるように道路の中央部分はあけましょう。
○現場の警察官の指示に従いましょう。

高速道路では、

○あわてずに減速し左側に寄せて停車しましょう。
○左側に停車できない時は、右側に停車し、中央部分をあけましょう。
○ETCゲートは地震発生時も機能するようになっています。
○警察、道路管理者などからの指示、案内、誘導を待って行動しましょう。

 となっている。基本的に安全な場所に停車させることが大切。

災害時高速道路は最も重要な救援経路となる。ジャマにならないようにして避難しよう

 さらに、クルマを置いて避難する際の鉄則4カ条として。

○窓ガラスをしっかり閉める。
○キーをつけたままにしておく。
○貴重品を車内に残さない。
○ドアをロックしない。連絡先がわかるようにする。

 緊急車両が通行できない時に車両移動できるように、この4つは絶対!

●その2 都心部を走行中は目的地まで徐行で

 ただし、警視庁広報課に確認したところ、大都市圏内では前項の基本指針と少々異なり、「とりあえず目的地まで行け」という指示となる。

 大都市圏内では、

○速度を控え、安全な速度で運転する。
東名高速、中央自動車道など、高速道路は概ね40km/h以下で走行。首都高速、一般道は20km/h以下で走行しましょう。

○冷静に行動
カーラジオなどで、地震情報や交通情報を利用して情報収集し、現場の警察官の指示や交通規制い従って行動しましょう。

○運転は目的地まで
目的地に到着したら、以後は自動車の使用をやめましょう。

★  ★  ★

 これは、クルマの多い大都市圏内では、むやみにクルマを停車させたりクルマを乗り捨てて避難をしたりすると、たちまち大渋滞を引き起こし事実上緊急車両が走行できなくなるための指示だ。

 実際に今回の震災で、電車網がストップした都心では、クルマの帰宅者増加による大渋滞がおこり、救急車や消防車など緊急車両が動けなくなる事態が発生した。

 大都市圏では特にクルマの渋滞は、2次災害の引き金となる。

●その3 走れなくなる道路があるので注意

左写真から右写真へ変わる

 大都市圏では、大地震発生および警戒宣言が発令された時点で、交通規制が行なわれる。これは、各自治体により規制区間、内容は決められているので、万が一に備え、自分の住む自治体に事前確認しておこう。東京近郊を例にあげると、

○広域交通車両規制
・環状7号線の内側の道路で都心に向う車両
・都県境で、神奈川県、山梨県に向かう車両
・埼玉県、千葉県の都県境から、都心に向かう車両

○高速道路規制
状況により、車両の流入を制限し、都県境では、一般道と同じように車両規制が行なわれる。

★   ★   ★

 これら該当地区以外でも、主要路線では必要に応じて車両の通行規制が行われる(東京の場合は左表参照)。時間がたつと規制範囲は広がる。

 このように、状況にもよるが、もし大都市圏内で大地震が起きれば、都心部での規制は広範囲になり、クルマでの移動はかなり困難になると考えておいたほうがいいだろう。

●その4 ラジオ・携帯電話は?

 車内で被災した場合は、その地域の情報を素早く収集する必要がある。

 カーラジオや車載TV、携帯電話などが基本だが、多くの地域に存在する、ミニFMなどが受信できれば、現在地の情報が入手しやすいので便利。

 また、海岸線に近い場所などでは、NHKなど公共性の高い放送局で津波の情報を入手し、少しでも安全な場所への移動を優先することが一番重要だ。

 また、被災後、携帯電話は通話よりメールのほうがつながりやすい。その際、自動受信機能の停止で手動受信をする必要があることを憶えておいてほしい。

●その5~7 ドアを開け、火を消しクルマは使用せず

 自宅や会社で被災した時の対処だが、分かっていると思うが、今一度おさらいしておく。

 大切なのは、あわてないことで、あわてて外に飛び出すと、落下物で怪我をすることもある。

 地震は今回の大地震でも2分以内に収まるので、倒れやすい本棚やタンスなどから離れて、テーブルや机の下に隠れることが結果として効果的なのだ。余裕があれば退路のためにドア、窓を開けることも大切だ。

 揺れが収まったら、避難する前に、まず火災防止のためにストーブやガスコンロなどの火を消して、余裕があればガス栓も閉めたい。

これは危険、本棚からは離れる。とっさの判断で窓、ドアを開けにいけると○

 屋外では、ブロック塀や自販機など、倒れやすい物の近くから離れ、カバンでもコートでも構わないので、落下物から頭を保護することが大切になる。

 デパートなど大きな建物では、ガラス窓やショーウィンドウから離れ、店員の指示に従い避難することが重要で、むやみな行動は2次災害の危険がある。

 また、海岸に近い場所では、高台を目指して避難することが一番重要になるので、地元の高台の位置を知っておくとよい。
 

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