「1000万人の中から選ばれた3000人の俊英」北京大生にボコボコにされ目覚める東大生ーー「秘密結社」京論壇が面白い!

2011年12月19日(月) 田村 耕太郎

 

最近日本に未来が見えてきた気がする。それは「未来」=「若い世代」の素晴らしさである。エジプトの遺跡にも「以下の若いもんはダメだ・・・」との言葉が刻まれていたようで、人類は次世代の頼りなさばかり目につくのかもしれない。我が国でも「草食系」だの「内向き」だの色んな言葉で「今の若い奴はダメだ」との指摘がある。

私はそんな言葉に流されず、この目で確かめてきたが、今の若者に素晴らしい人材が多いと思う。ガッツがあって外向きグローバル志向で何事にもセンスがいい若者が日本にたくさんいる。そういう連中に会うたびに心が明るくなる。今日はそういう若者が集う“秘密結社”京論壇を紹介したい。

京論壇は2005年に北京大学と東京大学の学生によって結成された国際学生討論団体だ。

北京大学と東京大学の学生それぞれ10数名が、東京と北京に1週間ずつ滞在し、日中間に横たわる様々な問題について英語で徹底討論する。過去五年間で話し合われたテーマは、歴史認識、安全保障、軍事認識、歴史教育、環境、日中経済、ビジネス文化、食料、国家とアイデンティティ、メディア、東アジア、国際社会、教育、経済格差と多岐に渡る。

6年目の今年の討論テーマは、「ジェンダー」「国家イメージ」「インターネット」であった。

議論の成果は、報告会、雑誌投稿、ラジオ出演、シンポジウム開催、出版活動等、様々な機会と手段を使って積極的に社会に向けて発信している。

東大においては、面接中心に少数精鋭の京論壇メンバーを選抜している。

京論壇は徹底して議論を重視している。議論はあえて、双方にとって客観的な言語である“英語”で行う。北京大、東大双方とも本番の4か月以上前から、設定されたテーマにつき、議論の準備をする。そして東京と北京を行き来しながら、準備してきたテーマで夜を徹して徹底的に議論を交わす。「受け身」の姿勢では得られない「相互理解」と「内省」が達成されると双方が考えたからだ。

相手が倒れるまで議論

この議論では、参加者は設定された問いに対して自分で考えた意見を率直に述べなくてはならない。それが日中間の非常にセンシティブなテーマであっても、遠慮なく本心を本音で語らねばならない。しかし、その「自分の考え」は、他の参加者からの反論に十分耐えられるものではなくてはならないとされている。京論壇では「他者の意見に安易に同調することをよしとせず、事実誤認や論理の歪みは徹底して批判すべし」との哲学がある。

もちろん、「発信のマナー」に加えて「受信のマナー」もある。相手の主張の論理をしっかり理解するよう他者の主張を冷静に聞きながら考えることが求められる。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。