その辺の芸能人やレスラーを参院選に立てるのはやめてくれ
国民をバカにしているのか

 なんでプロレスラーなのか。なんで野球選手なのか。なんで元ツッパリ役の女優の名前が挙がるのか―。次期参議院選挙の各党の公認候補や出馬予定者の名前を見ると、明らかに「票集め」のためだけに擁立されたとしか思えない"タレント候補者"たちがうようよいる。

 十把ひとからげにして申し訳ないが、こんな候補者たちに、国民は何を期待すればいいのだろうか。このままでは参議院が『TVタックル』と化してしまう。

 現在公認候補として名前が挙がっている主な"タレント候補"を見ていこう。民主党からは元プロレスラーの前田日明(あきら)氏、女優の岡崎友紀氏、元青森朝日放送アナウンサーで元ミス東京の波多野里奈氏、フリーアナウンサーの相本芳彦氏らが出馬予定。

 対する自民党は、元プロ野球選手の石井浩郎氏、元女優の田島みわ(麻生真宮子(まみこ))氏、シドニー五輪競泳銅メダリストの源純夏氏らを擁立した。

 これに加えて、現在候補者として検討されているのが、元体操選手の池谷幸雄氏、元シドニー五輪競泳銀メダリストの中村真衣氏(いずれも民主党)、女優の三原じゅん子氏、キャスターの王理恵氏ら(いずれも自民党)だ。さらに両党ともまだ「隠し球」を持っているようで、参院選がタレント候補で大賑わいになるのは必至である。

B級のニオイがするのはなぜ

 民主党の今回の目玉候補は、前田日明氏だ。「前田氏は数年前から政治の世界に関心を寄せており、'07年の参院選のときから出馬の打診をしていた」(民主党選対関係者)が、そのラブコールがようやく届いた。

「プロレス票は100万票はある」とこの選対関係者は前田氏の集票力に期待を寄せるが、しかし人気はともかく、彼に政治家としての資質があるかは疑わしいと言わざるを得ない。

「前田さんは現役を退いてもなおカリスマ的な人気を誇る、偉大なレスラーであるのは事実。しかし、民主党が彼の過去を知りながら、公認を出したのであれば、問題があるのではないか」
というのは、前田氏をよく知る格闘技ライター。

「前田さんは過去に何度も暴行騒動を起こしたことがあるんです。そのうちの幾つかは『武勇伝』として語られていますが、'00年には、当時ライバル関係にあった格闘技団体の社長を些細なことで殴りつけ、全治10日間の怪我を負わせ、罰金刑を喰らっています。やはりリングの外で暴行事件を起こして起訴された人間を出馬させるのはおかしいのではないか」

 さらに、前田氏の「政治感覚」を疑う声もある。前田氏と付き合いのある、政界関係者が語る。

「前田さんの政治思想は極端すぎて、周りがついていけないんです。彼は出馬に当たって『官僚支配の打破』と『日本独自の情報局の設置』を訴えているが、前田氏の持論は『日本はアメリカと官僚に支配されている』というもので、いささか陰謀論に傾きすぎており、有権者には伝わらないのではないか」

 また、前田氏は民主党から公認をもらう以前には、

「自民党政権が実施した定額給付金制度は愚策のきわみ。国民に1万や2万のカネを与えて、それで喜ぶと思ったら大間違いだ」と自説をぶちまけていたこともあったというが、「だったら民主党の子ども手当についてはどう受け取っているのか」(同政界関係者)と、主張と行動に一貫性が見られないことが不安視されているという。

 一方、自民党の目玉候補は、秋田選挙区より出馬する石井浩郎氏。

「自民党は過去2回の参院選の秋田選挙区で、議席を取れなかったので、今回は絶対に負けられない。そこで他の公認候補を押しのけ、石井氏に白羽の矢が立ったのです」(地元紙記者)

 そんな石井氏にも、前田氏同様、厳しい視線が注がれている。

「近鉄、巨人で活躍し、西武の二軍監督を務めた石井氏ですが、ファンの人気とは裏腹に、球界内ではあまり評判がよくなかった。女癖が悪く、度々夜遊びの現場を週刊誌で報じられていましたし、二軍監督時代には、カッとなって選手に手を上げることもあったと聞きます。1年で二軍監督をクビになったところに、彼の人間性が表れているのでは」(スポーツ紙デスク)

 早稲田大学在籍時から、「将来は野球選手か政治家になる」と豪語していたという石井氏。それなら政治家としての素晴らしい理念をお持ちだろう、とおもいきや、どうもそうではないらしい。

「知名度は抜群なので、当選は確実でしょう。しかし、肝心の政策については、ほとんど知識がない状態です」(前出・地元紙記者)

 この記者によると、「当選後はなにがしたいのか」と尋ねても、「秋田はなまはげや比内地鶏など有名なものがあるのに、知名度が低い。秋田を元気にしたい」「スポーツを通じて、日本を元気にしたい」といった漠然とした答えしか返ってこないんだとか。

「政治のことは県連とよく相談して考えていきたい、とも言っていますが、これでは自分が政治に無知であると明かしているようなものです」(同地元紙記者)。

 同じく自民党より出馬予定の元競泳選手・源純夏氏も、出馬表明会見で「これから政治を勉強したい」と語ったが、彼らは国会を「タレント候補のお勉強の場」とでも捉えているのだろうか。

「政策を掲げないのもどうかと思いますが、政策を掲げたところで、『財政再建』や『霞が関批判』といった程度に留まり、政治理念がはっきりしないタレント候補が多いのは残念に思いますね」(兵庫県立大学大学院准教授・中野雅至氏)

 それにしても失礼ながら、今回のタレント候補者たちにB級のニオイがするのはなぜだろうか。俳優の香川照之やイチローなら、一票を投じようとも思うのだが。参院じたいがB級ということなのか。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら