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大特集 世界恐慌は金融屋が作ってる
次は日本国債の格下げだ「格付け屋」に支配された世界経済

格付け市場はS&P、ムーディーズ、フィッチの3社で9割以上のシェアを持つとされる〔PHOTO〕gettyimages

 ついにEU(欧州連合)の格付けまで「引き下げ見通し」に指定された。日本国債の格下げ懸念も高まっている。「そういうことには疎い」(菅直人前首相)などと言っている場合ではなくなってきた。

暴落を演出

「サブプライムローン関連の金融商品に高い格付けを出していたことで、格付け会社の信頼は地に堕ちたが、ギリシャに始まる世界各国の国債危機に乗じて、いつの間にか復活してきた。

 格付け会社が世界最強国であるアメリカの国債を格下げすると、これがトリガー(引き金)となって世界同時株安へと発展、欧州国債の格下げラッシュでもその影響力の強さを誇示している」(財務省OB)

 各国の政府首脳たちが、いま、格付け会社の一挙手一投足に翻弄されている。

 全国紙経済部記者もこう指摘する。

「12月5日の〝欧州総格下げ予告〟はインパクトが大きかった。米大手格付け会社『スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)』が突如としてドイツ、フランスを含むユーロ15ヵ国の長期国債の格付けを引き下げる方向で見直すと発表すると、世界のマーケットが〝反転〟した。

 実はこの発表の数時間前に、メルコジ(ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領)が共同で会見を開き、欧州の国債危機に対する新たな抜本対策を講じる予定だと発表していた。それを好感、ユーロ相場は上げ基調で始まっていたのに、格下げ検討の発表を受けて一気に売りが先行、下落を開始した。日本の株式市場でも欧州懸念が再燃し、戻り始めていた日経平均が反落、8日ぶりの下げ幅を記録した」

 会見後に見せたメルケルの笑顔は一転、苦衷に歪んだ。格付け会社による絶妙なタイミングでの〝介入〟が、市場に広まる欧州不安を火消しするために開いたメルコジ会見に水をさした格好だ。

 リーマン・ショック後に鳴りを潜めていたヘッジファンド、格付け会社といった「金融屋」たちが、欧州危機を背景にして、その存在感を高めている。先週号でレポートしたように、一部のヘッジファンドは危機を利用して儲けようと動き出している。

 ニュージャージー州在住の米国人ヘッジファンドファンドマネジャーは、目下欧州で広がる国債危機に乗じた投資で、「年率20%」という驚異的な利回りを叩き出しているという。

 当人が語る。

「欧州危機のおかげで儲けることができました。私は債券投資が得意で、昨年ギリシャ危機がクローズアップされてから、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)の国債のショート(カラ売り)ポジションを仕込んだ。今夏、ギリシャの救済策がまとまるとの報道があった時は国債が値上がりして損切りをせざるをえない場面もあったけど、ほとんどは我々がカラ売りする度に国債が暴落してくれたからね。トータルでは年率20%の成績を残せた。

 ヘッジファンドが危機を煽っている?そんなこと知ったことじゃない。今年はフロリダの別荘にも行けず、徹夜で相場を見る日もあった。一生懸命働いた人が高収入を得るのは当たり前のことだ」

 欧系投資銀行幹部も、こう言う。

「先日、イタリア国債の破綻リスクを示す指数がたいした理由もなく、膨れ上がったことがあった。なにがあったのかと見ていると、ベルルスコーニ(元首相)の女性問題が出てきた。こんな痴話話だけで指数が上がるのはおかしいなと思っていると、市場でこんな噂が流れた。『アメリカのヘッジファンドが大量にイタリア国債のショートポジションを持っていて、これで利益を出すために女性問題をメディアにリークしたらしい』---事の真相はわからない。ただこのように指数を巧みに動かす〝芸当〟は、規制でがんじがらめにされている大手金融機関にはできない。どこぞのヘッジファンドの仕業に違いない」

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