EU首脳会議はユーロを救えず=信用不安問題は一段と深刻化
〔PHOTO〕gettyimages

 ユーロ圏の信用不安問題の火が収まらない。注目された12月初旬のEU首脳会議では、ユーロ圏諸国と英国を除くEU加盟国が、より強固な財政同盟を形成する方向で合意が形成された。また、ユーロッパ版IMFと言われるESM(欧州安定メカニズム)の前倒し創設などが決議された。これらの政策は、ユーロ圏の信用不安問題を解決するためには間違ったものでない。しかし、これで、今、燃え盛っている信用不安問題を消し止めることができるかと言えば、答えは「ノー」だ。

 まず、今回決定された政策の実行には時間が掛かる。財政同盟の形成にしても、これから加盟各国の議会で承認が必要になる。その手続きに時間が掛かることは、今までの例を振り返るまでもない。一部の国では、国内世論をまとめるのにかなりの時間が掛かることが想定される。あるいは、一部の国が脱落するかもしれない。ESMを立ち上げると言っても、それは来年の年央になる。

信用不安の拡大とまらず=ユーロの下落進む可能性

 それらの政策では、今すぐに、イタリア国債の流通利回り上昇を食い止めることが出来るとは考えにくい。特に、ユーロ中核国ですら、格付け会社のダウングレードの懸念が現実味を帯びてきたことを考えると、金融市場の懸念を吹き飛ばす"バズーカ砲"の威力を期待することは出来ない。ユーロ圏内部の政府高官からですら、「会議の後に不安が高まる、今までのパターンが今回も起きることだろう」とのコメントが聞かれる。

 そうした状況を反映して、ユーロッパの金融関係者とメールをやり取りしていると、最近では、彼らが、EUやECBの問題解決に向けてのイニシアチブを半ば諦め始めていることが分る。これまで何度も期待が裏切られていることを考えると、そうした彼らの感覚はそれなりに理解することができる。

 彼らはEUやユーロ首脳会議の前に僅かに期待を持つものの、EU首脳会議は、期待された政策が打ち出されることが出来なかった。今回も同じことがおきたのである。結果的に、彼らはファンドマネジャーとして、保有する周縁国の国債を少しずつ減らすオペレーションを続けるしかない。そうした状況が続くと、ユーロの価値はさらに下落することになるだろう。足元で、その兆候は始まっている。

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