米クラウド業界をふたたび探訪する(7)
アマゾンのサービス障害は、なにが原因なのか

アマゾンのサービス拡充を説明するアマゾンのWerner Vogels最高技術責任者 (2011年Cloud Connect会議で筆者撮影)

 米国太平洋時間4月21日午前1時41分、アマゾン・ウェブ・サービシズ(以下アマゾン)のパブリック・クラウドに障害が起こり、利用者のウェブ・ページが表示できなくなるなどのトラブルが発生した。同社は、過去何度か障害に見舞われているが、今回は復旧が予想以上に遅れており利用企業の懸念が広がっている。クラウド事業のリーダーとして急成長を続ける同社に、一体何が起ったのか。

事業黎明期にもトラブルに見舞われる

 クラウド・コンピューティングは、クラウド・データセンター事業とクラウド・アプリケーション事業 *1の大きくふたつに分かれる。前者はインターネットを経由してユーザーに仮想サーバーや仮想記憶装置など提供する。後者は、そうした仮想ハードウェア上でソフトウェアや開発・運用環境を提供する。

 アマゾンは前者に属し、誰でも利用できることからパブリック・クラウドと呼ばれている。いち早くクラウド分野に参入した同社は、これまでも度々サービス停止のトラブルに見舞われてきた。

 数年前には変電所の落雷事故で、同社データセンターが深刻な停電に襲われ、一部のユーザーが利用できなくなった。この時は「事故発生および復旧状況に関する情報開示が不十分だ」との不満を受け、アマゾンは運営状況に関するモニター機能を追加した。

 ただ、アマゾンは過去のトラブルにも関わらず、厳しい非難を受けずに事業を続けてきた。こうしたアマゾンに対する寛容な姿勢はクラウド・コンピューティングが黎明期のサービスであり、利用者も個人などが多かったためだろう。

 しかし、先週発生したトラブルは、最近追加したサービスの不具合によるもので、停電などの単純な原因とは違う。筆者は「同社が事業拡大を急ぐあまり、十分な完成度に達していないサービスを投入したのではないか」との懸念を感じている。

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