2011.12.15(Thu)

「日本人は何を食べてきたか」第4回 坂本龍馬
幕末をエネルギッシュに生きた龍馬は食べ物に頓着しなかった?

筆者プロフィール&コラム概要

筆者 本郷明美(ライター)

尾頭付きの鯛は表裏食べるべからず!?

 坂本龍馬というお人、本当に女性によくおもてになった。妻であるお龍以外に、幼なじみ、剣の師匠の娘、長崎の遊女等々。かく言う私も『龍馬がゆく』を読んだときには、「ああ龍馬様、死なないで」と願ったもの・・・ 。おっと失礼、龍馬の魅力は100年以上の時を超えるということを言いたかったのでございます。

 女性にもて、男性をも惹きつけ、日本の未来を描き、幕末をエネルギッシュに生きた龍馬さま、好物もさぞや! と思ったところ、ない、見事にないのである。筆まめな龍馬が残した100通以上もの手紙にも、食べ物についての記述はまったくと言っていいほど見あたらない。高知の坂本龍馬記念館にも、うかがってみた。

「食べ物については本当に書いてありませんね」。

 そ、そんな~。しかし、逆に龍馬が食べ物に頓着しなかった、そのワケらしきものを発見いたしました。

 龍馬の生家坂本家はもともと裕福な商家であり、先祖が武家の株を買い取って武士になったというお家柄。龍馬が生まれる70年ほど前のことである。武士としての身分は低かったものの、お金はあった。毎日、鯛の尾頭付きがご飯のおかずだったという。まあ、龍馬さま、かなりのボンボンなのである。だが坂本家は甘やかしはしなかった。

「魚の表も裏も残さず食べるのは武士の子にあるまじき」と厳しくしつけられたという。出しておいて残せ、とは。まだ身のある鯛を残すのは、育ち盛りの子供にはつらかったろう。坂本家はもともとの武家ではなく、お金で買った「武士」という家柄だ。だからこそ、よけい「武士らしさ」を切実に求めたのだろうか。

「武士たるもの、食べ物に執着すべきではない」。

 龍馬にもその精神が染みついている。好きなもの、美味しかったものがあったとしてもわざわざ書き残す、執着することは恥としたのかもしれない。

霧島で食べた、愛のカステイラ

 さてさて龍馬、酒は大好きだった。

「龍馬の酒量は量りかねます」。

 これ、妻お龍の言葉である。今でいう「ザル」ってこと!? さらにお龍によれば、「龍馬はひと息に一升五合を呑み乾して、息を吐く事虹の如しでした」。

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