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近づくM9級大地震 あなたは今そこにいて本当に大丈夫かそのとき、東京では何が起きる? もし地下鉄に乗っていたら
もし高速道路を走っていたら

 忘れた頃に地震はやってくる。そしてこの国には残念ながら、必ず大地震がくる。頭で分かっていても、多くの人が行動には移していない。引っ越すことも含めて考えるべきなのに。それもできるだけ早く。

津波が来たら、地下鉄はアウト

 3・11から9ヵ月が経つ。大震災の恐怖も少しずつ薄れつつある。被災地から離れた首都圏になると、3・11以前の日常に戻っている人も少なくない。だが、間違いなく大地震は再びやってくる。そして、そのとき、備えを忘れているあなたはパニックになるだろう。

 最近、複数の専門家が房総沖を震源としたM8~9クラスの巨大地震が発生する可能性を指摘している。

 東日本大震災では、太平洋海底の日本海溝に沿って、三陸沖から茨城沖まで広がるプレートの境界線付近で巨大地震が次々と発生した。だが、すぐ南隣に並ぶ房総沖の地殻は動かず、エネルギーが溜まったままではないかと疑われているのだ。

 東日本大震災の余震発生パターンを研究している独立行政法人建築研究所・研究専門役の古川信雄氏は本誌で、「この地域にはプレートの〝滑り残し〟の部分があると考えられます。房総沖が潜在的に地震を起こす場所であるのは間違いありません」と首都に近い地域での大地震の可能性を指摘している。

 3・11のM9地震で震度6強を記録した仙台では大きな被害が出たが、人口がはるかに多く、都市機能の集中した首都圏が同じ揺れに見舞われたらどうなるか。

「房総沖地震」に対する政府の被害想定は発表されていないが、首都が巨大地震に襲われた場合の被害予測はある。中央防災会議によれば阪神・淡路大震災と同程度の首都直下型地震が起これば、死者は1万1000人にも上ると予想されているのだ。そのときどこにいるか、そしてどんな心構えで、どんな備えをしているか---それがあなたやあなたの大切な人の生死を分けるだろう。

 まずは地下鉄の場合を考えてみよう。

 巨大地震が発生した際、多くの人が携帯などで最初に受け取るのが、緊急地震速報だ。3・11の仙台では地震の本震が到達するまで15~20秒の時間的余裕があった。鉄道では、この速報性が命綱となる。たとえばJR東海では、独自に設置している東海道新幹線早期地震警報システム(通称テラス)によって地震の初期の小さな縦揺れを検知。新幹線を自動停止させるほか、在来線の運転士にも総合指令所から停止の指示を出す。

 東京メトロによると、地下鉄も同様に本震到達前に電車を止めるシステムを採用している。そして、いったん停止して本震をやりすごしたのち、電気が通っていれば時速5kmの低速で最寄りの駅に向かう。電力が止まってしまった場合には乗務員が乗客を線路に下ろして最寄り駅に誘導する。

 だが避難自体は整然と進んだとしても、実は地下鉄には大きな弱点がある。津波に対して、現状ではほとんど無力だということだ。