経済の死角

フランスの大ピンチ
ゆるやかな「取り付け騒ぎ」が始まった

2011年12月15日(木) 週刊現代
週刊現代
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もうお手上げ〔PHOTO〕gettyimages

 今夏、ギリシャの国債危機が世界中のメディアで騒がれていた時、よく語られたセリフがある。

「この危機が伝播して、超大国フランスにまで波及すれば、ユーロは崩壊する」

 現実は周知の通り、欧州の国債危機はギリシャからイタリア、スペインときて、トリプルAという最上級格付けを持つフランス国債をも呑み込む「最終段階」に入った。

「イタリアもフランスも同じような財政問題を抱え、財政健全化に向けて迅速な行動をとってきたのに国債価格が急落。さらに財政健全な優良国であるドイツ国債までもが入札が不調で『札割れ』した。欧州ではどの国も市場の信頼を得ることが難しい状況。財政や景気がいい悪いという個別問題よりも、どこが影響を受けやすいかという相互関係で売られる『金融システム危機』が起きている。それがいまの欧州危機の本質だ」(日本リサーチ総合研究所主任研究員の藤原裕之氏)

 ユーロの問題は各国の「財政危機」から「金融危機」へと、ステージを越えた。これを笑いながら眺め、大儲けを演じていたのがヘッジファンドだ。

 彼らにとってはいとも容易いディール(取引)だった。何せフランス国債が早晩にして大量売りされることを示す「シグナル」が、マーケットにはいくつも転がっていたからだ。

 まず夏場にサルコジ大統領が表明した緊縮財政策。「フランスは北欧と同様に公的セクターが大きい経済構造。そのため夏場以降に講じられている財政緊縮策が実行されれば、経済成長が鈍化し、回りまわって財政改善が進まない悪循環になることはわかりきっていた」(ニッセイ基礎研究所主任研究員の伊藤さゆり氏)。この時点で一部のヘッジファンドはカラ売りポジションを確保、「フランス暴落」に向けた仕込みを始めたとされる。

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