雑誌
世界大恐慌、仕掛け人を暴く こいつら、まともなのか 世界経済は死んでも、俺たちは大暴落で稼ぎまくる
笑うヘッジファンド最終ターゲットは
日本国債

明日はイタリア、明後日はフランス、そして・・・・・・

 日米欧の6中央銀行が協調する異例の措置も奏功せず、欧州危機はドイツ、フランスを呑み込む最終段階に入った。この国債暴落に乗じて大儲けする「顔の見えない投資家集団」の正体に迫ろう。

狙われたイタリア国債

 欧州の通貨危機、金融危機はなぜ止まらないのか。

 それは「ユーロ崩壊」「PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの5ヵ国)クラッシュ」の側に巨額の資金を賭けている大口投資家がいるからだ。欧州中央銀行(ECB)や欧州金融安定化基金(EFSF)がいくらカネを積んでも危機が収まらないのは、欧州破綻を予想する〝逆張り〟のプレーヤーがいかに強力かを示している。

 これがヘッジファンドだ。

 ユーロが崩壊すれば、アメリカも日本も無傷ではいられない。各国の金融機関も大出血、ユーロ各国では公共サービスも崩壊して国民生活は悲惨なものになる。誰も喜ばない事態になる。

 唯一、ヘッジファンドを除いては---。

 いま個人投資家の間でNHKのある番組が話題になっている。その番組とは11月末に放送されたNHKスペシャル『ユーロ危機 そのとき日本は』。ギリシャからイタリアに飛び火した欧州の「国債危機」の背景を探りながら、日本にもその「負の連鎖」が及んでいる実態をレポートする内容だが、特に注目を集めたのは番組内でインタビューされたイギリスのヘッジファンドだった。同時株安で世界の投資家が軒並み大損を余儀なくされる中で、このヘッジファンドはギリシャやイタリア国債の暴落に乗じて大儲けした、と告白した。

 欧州危機の裏で蠢く知られざる投資家集団---欧州の国債が崩壊間近の危機となったいま、その仕掛け人がヘッジファンドであることが明らかになってきた。

 欧米の複数のヘッジファンドと交流を持つ信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏が言う。

「一部のヘッジファンドの間では、ギリシャ国債の危うさが指摘され始めた昨年頃から『ユーロで儲ける』というのが合い言葉になっていた。そしてユーロ圏諸国の国債や通貨、株などのショート(カラ売り)で儲けようとしていた。実際、こういうヘッジファンドは昨年5月にはギリシャ国債を、10月にはアイルランド国債を売って、利益をあげている。そして今年はイタリア、スペイン、フランスというようにユーロ圏で国債を中心に売っていた。

 こうしたヘッジファンドの売りに気づいた銀行などの大手機関投資家が追随、欧州の国債を大量に売った結果、次々と欧州債が暴落していった。その度にヘッジファンドは『しめしめ』とほくそ笑みながら儲けていたという構図です」

 ギリシャが危機に陥ったのはもちろん放漫財政が原因だが、それをいち早く察知して売り浴びせ、他の金融機関や投資家が追いかけてきたところで巨大な利益をあげる---これがヘッジファンドの典型的なやり口だ。

 さらに複雑怪奇な最先端の金融商品を駆使し、儲けを膨らませていくのが彼らの得意技。NHKの番組に登場したヘッドファンドが買い進めていたのもCDSなる金融派生商品。この商品は国債がデフォルト(債務不履行)する事態に備えて保険をかけ、デフォルトした場合に元本を保証するもの。その保証料をプレミアムといい、リスクの大きい国債ほどプレミアムが高くなる。

 元スイス銀行マーケット・アナリストの豊島逸夫氏が言う。

「イタリア国債の暴落を仕掛けたのはヘッジファンドを代表とする投機筋だと見て間違いない。銀行などの機関投資家はCDSのプレミアムを見て、それが高いと国債の危険度が高まったと判断、国債の『売り』に動く。この不安心理をヘッジファンドが利用した。

 ヘッジファンドはまずイタリア国債が暴落すると儲けられるカラ売りポジションを仕込み、そのうえでCDSのプレミアムを上げる売買を実行。不安になった機関投資家が国債の売りに転じると、これを見たヘッジファンドが一気にイタリア国債を買い戻した」

 投資家の不安を巧みに煽り、国債を暴落させる。その裏でこっそり事前に仕込んでいたヘッジファンドがボロ儲けを演じているのが、「欧州危機」の偽らざる正体なのだ。

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