世界のマネーフローが変わっている=中国等の新興国から投資資金が流出
インドなどの諸国でも通貨の下落を懸念する見方が強まっている〔PHOTO〕gettyimages

 足許で、世界的なマネーフローに顕著な変化が起きている。今まで、多額の投資資金は高い経済成長率を求めて、中国やインドなどの新興国へと流れ込んでいた。それが新興国の堅調な株式市場の展開を支える大きな役割を果たし、安定した経済展開を演出してきた。高い成長を達成するから投資資金がさらに流入し、それが経済成長を支える好循環を生んでいた。

 ところが最近、新興国から投資資金が流出し始めている。それは、当該国の為替動向にも表れている。中国の人民元は下落傾向が鮮明化しており、インドやブラジルなどの諸国でも通貨の下落を懸念する見方が強まっている。そうした動きに対してブラジルやインドの政府は、資本流出に歯止めを掛けるべく、海外資金にたいする規制を緩める等の政策を打ち出している。

 今後、そうしたマネーフローの変化が一段と進むと、新興国の経済にもマイナスの影響が出ることが懸念される。欧米諸国の景気回復にはまだ時間を要するとみられることを考えると、新興国経済の減速は世界経済の足を引っ張ることにもなりかねない。また一つ、世界経済の懸念材料が増えた。

マネーフロー変化の三つの要因

 世界的にマネーフローが変化している主な理由は三つある。一つ目は、新興国経済の減速が鮮明になりつつあることだ。経済成長が減速するということは、それだけ期待収益率が低下し、投資妙味が低下するのである。

 二つ目は、ユーロ圏の信用不安問題の高まりによって、多くの投資家がリスクを軽減しようとしている=リスクオフに動いていることだ。投資家が保有するリスク量を軽減する最も手っ取り早い方法は、価格変動性の高い新興国の株式などの保有残高を減らすことだ。

 新興国の株式市場は相対的に規模が小さいため、少額の投資資金の移動によって価格変動の度合いが大きくなる。小さなコップの中に少し水を入れると直ぐに推移が上がる一方、少しの水をすすぎだしただけで水位が大きく下がることを想像すると分り易い。

 投資家が保有する新興国の株式を売却して、その資金を本国に戻す行為をリパトリエーション(=リパトリ)と呼ぶ。投資資金のリパトリエーションを実行する場合、売却した株式の現地通貨建て代金を為替市場で自国通貨に替えることになる。つまり、新興国通貨を売って、自国通貨を買うのである。その為、どうしても、新興国通貨が下落しやすくなる。

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