リスクが大きく、手数料も高い「通貨選択型投信」の販売規制強化は当然。こんな商品は販売禁止にしたほうがいい
現地通貨ベースの金利が高いブラジルレアル〔PHOTO〕gettyimages

 金融庁と日本証券業協会、投資信託協会は、ブラジルレアルなど運用通貨を選ぶことが出来る「通貨選択型投信」の販売に関する規制を強化するという(『日本経済新聞』12月5日朝刊)。証券会社や銀行が販売時に顧客が商品内容を理解しているかを書面で確認することを義務づけるのが、新しい規制の主な内容だ。

 現時点では、規制内容の詳細を把握していないが、通貨選択型投信に対する何らかの規制は必要だと筆者は考える。

 通貨選択型投信とは、外国の債券や株式など資金が実際に投じられる資産のリスクを取るだけでなく、当該資産の通貨あるいは円でヘッジする以外の第三国の通貨リスクを取ることを可能にした投資信託だ(仕組みの解説と図は、たとえば日本証券業協会ホームページの、「『通貨選択型の投資信託』とは?」をご参照下さい。)。

 多くの場合、現地通貨ベースの金利が高いブラジルレアルや豪ドル、南ア・ランドなどの通貨が選択され、分配金を毎月支払うコースを設け、毎月の分配金を高く設定し(一口1万円に対して毎月100円以上の分配金が珍しくない)、これを魅力として強調して顧客に販売されている。

いかなる投資家にもお勧めできない

 筆者の会社のオフィスに飛び込んできた某大手証券会社の若手セールスマンも、「社長、投資信託の場合、一番重要なのはインカム・ゲインであり、分配金です」とセールスの口火を切った。

 しかし、現在の売れ筋商品である、毎月分配型、且つ通貨選択型の投資信託は、顧客にとって良い商品だとは言い難い。

 先ず、毎月分配金を払う仕組みは年に一度分配金を支払う投信と比較して、運用内容にプラスの利回りが期待できるのなら、税金を先に払う分だけ計算上必ず損になる。「それでも毎月、現金収入が必要な(あるいは、「あると嬉しい」)投資家もいる。

 現に「ニーズがある」などといった腐った反論をする金融マンがいるかも知れないが、分配金として毎月現金が必要な家計状態の投資家は、そもそもこんなにリスクが大きな投資信託で資産を運用することに不向きだろう。

 また、新興国通貨の為替レートは変動が大きい。計算用にサンプリングする時期にもよるが、ブラジルレアルや豪ドルなど多くの新興国通貨の変動リスクは、日経平均やS&P500といった先進国の代表的な株価指数に匹敵ないしはこれを上回る。投資家によっては、分配金の大きさと利回りだけに注意を奪われて、こうしたリスクの大きさを十分に理解していないケースがある。

 加えて、例えば、ある売れ筋の商品を例に採ると、購入時手数料が4.2%以下(販売会社が自由に設定できる場合が多い)に加えて、運用対象にかかる手数料まで含めた実質的な運用管理報酬(信託報酬)が年率1.719%程度、さらに、売買手数料や監査費用などファンド内でかかる手数料がある。

 証券業界に関わる者としては言いにくいが、リスクが大きい上に仕組みが複雑で顧客が勘違いしやすく、また、手数料を考えただけでも、いかなる投資家にもお勧めできるような商品ではない。読者も、ご自身、あるいはご家族がこの種の商品に近づかないように注意されるといい。

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