一川防衛相を辞任に追い込む田中防衛局長「不適切発言」を報じたのは琉球新報だけーー官僚・メディアがもたれ合う「オフレコ」取材の構図

 一川保夫防衛相の辞任は時間の問題だ。与党内からも辞任論が出てきた。今週中にも辞任するだろう。

 一川防衛相は12月1日の参院東日本大震災復興特別委員会で、1995年の米海兵隊員らによる少女暴行事件について、「正確な中身を詳細には知ってはいない」と答弁した。先日もブータン国王の晩餐会に欠席。その理由が同僚議員の資金集めパーティーだったのにはびっくりだ。しかも、ブータン国の名前も答えられず、秘書の助けを求めたほどだ。就任直後にも、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と述べ、ひんしゅくを買った。もうあきれてモノがいえない。

一川防衛相の足をひっぱったのが、田中聡沖縄防衛局長だ。居酒屋でのオフレコ不適切発言が問題になった。琉球新報によれば、政府が年内提出を予定する環境影響評価(アセス)の評価書提出問題について、田中氏は、「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」と答えたという。

 同時に、田中氏は、1995年の少女乱暴事件後に、「レンタカーを借りる金があれば女が買えた」と発言し更迭されたマッキー米太平洋軍司令官(当時)の発言を話題にしていたようだ。

普天間飛行場の返還協議が1995年の米海兵隊員による少女暴行事件を契機に始まった経緯がある。田中氏はそれを知っていて、不適切発言したのだから、どうしようもないほどの不適格者だ。

居酒屋懇談会の会費は誰が払ったのか

 まったく田中氏の発言は弁解のしようもなく、とんでもないものだ。沖縄防衛局長を更迭というが、本省に戻って官房付になる。その後、ころあいを見計らって、再びどこかのポストにつくだろう。役人は更迭といってもクビになるわけでなく、キャリアであれば、そこそこの処遇になる。ちょっとサラリーマンでの出世競争に負ける程度の話だ。

 

 ここでは田中氏の発言内容ではなく、「オフレコ」を少し考えてみよう。永田町や霞ヶ関では、しばしばオフレコ記者懇談会が行われる。このオフレコには、名前の引用と内容をともに公表させないものと、バックグラウンド・ブリーフィングという名前の引用だけ行わず内容は報道されるものがある。

前者は少なく、後者が多い。記者に漏らすのは、何らかの形で情報誘導したいからだ。社会正義の気持ちからどうしても内部の不正を暴きたいという場合も考えられないわけではないが、圧倒的に多いのは、情報リークである。

今回、田中氏は、沖縄防衛局長という立場でマスコミ対策を行っていたわけだ。会費制で居酒屋という形式であったが、その場には田中氏以外の沖縄防衛局長の職員もいたはずだ。会費制といっても、田中氏の会費は役所の何らかの経費で支払われている可能性もある。その場へ交通手段も公用車であったかもしれないし、もし公用車でないにしてもタクシーチケットは公費で払われていても不思議でない。

沖縄防衛局は、防衛省地方防衛局の中でも一番大きい組織で職員数は400名を超える。予算規模も2000億円程度ある。そのトップであれば、それなりの交際費はもっている。記者を役所に招いて昼食を出して、オフレコ記者懇談会を行っていても違和感はない。

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