雑誌
残された時間は少ない!
最悪の事態
台風がフクシマを直撃する前に

注水ポンプが吹き飛び、セシウム砂が舞い散る
原発から20km圏内は、瓦礫が手つかずのまま残る〔PHOTO〕gettyimages

雨が降れば放射能汚染は拡大

「雨が降れば放射性物質が流されて、放射線量が下がるという専門家もいますが、これは完全に誤りです。放射線量は雨が降るほど加速度的に高まっていく。私はカドミウムが原因で起きた『イタイイタイ病』の健康調査に長年関わっていますが、様々な汚染物質の実験で、水量が増えるほど、土壌の放射線量が高くなることは間違いありません。

 土壌だけでなく、灌漑用水などにも放射性物質が降り注ぎ、海に流れ込むのはもちろん、農地にも入り込む。雨が降り続けば汚染地域はいまよりも広がってしまうのです」

 日本環境学会元会長・畑明郎氏はこう語る。

 東京電力は福島第一原発について、放射性物質漏出を抑える冷温停止状態に持ち込むまで6ヵ月から9ヵ月という工程表を発表した。しかし、疲労と放射能汚染の恐怖の中で作業に当たっている作業員たちでさえ、工程表通りに進むと考えている者は少ない。

 彼らが闘っているのは、放射能という目に見えない敵だけではない。現在、放射能に汚染された水を掻き出す作業が続けられているが、6号機では地下から溢れ出したと思われる水が建屋内に広がっている。今後、梅雨の季節が来れば、雨水と汚染水が混じり合い、作業は一層の困難を極める。

「雨が降れば防護服の上にビニールのカッパを着て作業しなければならない。ただでさえ、動きにくいうえに蒸し暑く、作業効率が悪くなるのは間違いない」(東電協力会社関係者)

 冒頭で畑氏が言ったように、雨によって放射能汚染が拡大することは、各地のモニタリングの結果からも明らかである。

 たとえば、東京都内で雨が降った4月18日~19日にかけてのセシウム137の検出量は1立方メートルあたり0・011ベクレル。19日~20日にかけては0・0002に下がっているから、いかに雨の影響が大きいかわかる。また、雨は局地的に降るケースも多く、近隣のモニタリングポストの数値が低くても安心はできない。

 広島大学原爆放射線医科学研究所の星正治教授が語る。

「米ソが核実験を頻繁に行っていた冷戦期に、雨樋の下の土を調べると、他の場所よりもセシウムの沈着量が高かった。広島の原爆でも、雨量の多い地域は同様の傾向があります。また、雨というのは降り方が均一ではないので、チェルノブイリでも、ある家はセシウムによる放射線量が高いのに、その隣の家は通常レベルということがありました」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら