雑誌
純資産が一気に3兆円消えた投信も
毎月分配型の投信はすぐ売れ!

悪いことは言わない、損切りを
モーニングスター作成。
過去最大時の純資産額、基準価額=各月末時点で比較したときの最大値を掲載。
現在の純資産額、基準価額=2011年10月31日時点。

「これは日本の投資信託の特徴なのですが、一度、ファンドから資金が流出して純資産が大きく減ってしまったら、再び復活するのは難しい。なぜなら、新しいファンドが次々と出てくる中、資金流出しているファンドをあえて売ろうとする慣習が日本の金融業界にはないからです」(『投資信託は、この8本から選びなさい』の著者でセゾン投信代表取締役の中野晴啓氏)

 現在、日本には投資信託が3000銘柄以上存在する。このうち、毎月、分配金を年金感覚で受け取れる「毎月分配型(決算型)投信」は900を越えているが、それらの資産流出が著しい。

 上の表に純資産額(過去最大時)の大きい順に10のファンドを並べたが、いまや、その多くの純資産が縮小している。日本最大のファンド、グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)は3兆6000億円、2位のピクテ・グローバル・インカム株式は2兆1000億円、3位のダイワ・グローバル・債券ファンド1兆3000億円と、減った金額がハンパではない。9位のグローバルREITオープンの総資産は約7分の1にまで激減している。

「純資産が劇的に減っているものを、いまの銀行や証券会社は積極的に売ろうとしない。そうしたファンドを持っている人はすぐに売ったほうがいいと思います」(前出・中野氏)

 なぜ、純資産が急減しているファンドは危険なのか。その理由のひとつに運用の難しさがある。解約者が殺到すると、ファンドマネージャーはその支払いのために、現在保有している債券や株式などの売りに忙殺される。本来なら、現在安値圏にある債券や株を購入して資産運用するのが得策なのだが、とにかくいまは債券や株を売らなければ、解約者への支払いがままならない。結果、上手に資産配分をしながら、資金を運用するということが難しくなってしまうのだ。

 しかも、一度下がった投信に顧客が戻り、純資産が再び激増する可能性はきわめて低い。『勝つ投資信託』著者の神戸孝氏が言う。

「長期的には為替などの変動によって運用実績が戻るファンドでも、基準価格(資産価値)が下がってくれば販売会社は他の新しいファンドを顧客にすすめるのが一般的です。別のファンドに乗り換えたお客が、次にまた過去に持っていたファンドを買うケースは少ない。よって、解約が殺到して大量の資金が流出してしまったファンドの純資産額の急増は期待しにくい、ということになるのです」

 グロソブなどの1.575%に比べ、最近発売されているファンドは3~4%と、販売手数料が高いことも、大きく影響している。売り手(金融機関)からすれば、別のファンドに乗り換えてもらったほうが旨みが大きく、勧誘もおのずと熱心になる。結果、純資産は減少する一方となり、どんどん資金が流出しかねないわけだ。

100万円が45万円に

 たしかに損切りを承知で解約に踏み切るのはつらいものだ。10位のラサール・グローバルREITファンドに対し、基準価格が最も高かった'07年1月に100万円を投入していた場合、これまで受け取った分配金の累計額は24万3313円になる。しかし、基準価格が約5分の1に下がっているため、今年10月末時点の評価額は20万6953円。この二つの合計は約45万円なので、つまり55万円もの含み損を抱えていることになる。

「投信を購入する人は、たいてい人気が高くてすでに値上がりしているファンドを買いたがるため、基準価格がピークに近いときに買ってしまう人がとても多い。ところが、一般的にはピークの期間はそう長くは続かず、それを過ぎるとマーケットが調整局面入りして基準価格も値下がりしていく。人気の高い投信を買って儲かったという人は意外に少ないんです」(前出・神戸氏)

 いま純資産を増やし人気の高い毎月分配型のファンドといえば、短期豪ドル債オープンである(一覧の5位)。やはり基準価格が最大時に100万円分購入した場合を試算したところ、含み損は約10万円。「不透明な世界経済の中ではハイリスクといえる」(投資信託アナリストの吉井崇裕氏)だけに、いまはこの程度の含み損で済んでいる同ファンドも売ったほうがいい。

 最後に『月刊投資信託事情』編集長の島田知保氏はこうアドバイスする。

「いま売却すれば底値かもしれず大きな損失が出ます。しかし大事なのは自分の投資判断を反省して将来につなげること。損失の拡大が心配で夜も眠れない人は資産配分を見直したほうがいいでしょう」

 悪いことは言わない。すぐに損切りしたほうがいい。

「週刊現代」2011年12月10日号より

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら