雑誌
世界恐慌、その現実的影響
預金は損、借金は得
いずれやってくる超インフレに備えよ

 欧州最強国家ドイツでついに国債の「札割れ」が起きた。頼みのドイツが倒れれば総崩れ、世界大恐慌の幕開けだ。次に狙われるのは間違いなく日本。しかも大炎上の惨禍となる可能性が高い。

日本国債の異変

 イタリア国債の金利が7%にも達した欧州債務危機に耳目を奪われている間に、日本国債にもジワリと異変の兆候が見えている。

 外資系証券のクレジットアナリストが言う。

「11月22日に財務省が実施した新発20年物国債の応札倍率が、予想を下回る低い数値だった。これは国債の人気のバロメーターのようなもので、高いほど人気がある証拠。前回(10月)が約3.6倍で今回が2.5倍ほどだったから、『人気が3割減』したといえる。実はこの8月にも40年物国債の応札倍率が2.03倍と過去最低を記録している。これを受けて、当時のみずほ総研のレポートは『市場の財政悪化に対する警戒感は高まりつつある』と指摘していた」

 政府=財務省もついに危機感を露にし始めた。

「ある日突然、日本の国債が暴落するということがもう目の前にある」---11月21日、外国特派員協会で講演した民主党の藤井裕久税調会長が、日本国債の危機についてこう本音を吐露したのだ。

 さらにその翌日には、日銀副総裁の山口広秀氏が出席したセミナーで、「一国の財政に対する市場の見方は突然に変化する」「従来『安全資産』とみなされていた国債が、非連続的に『危険資産』に変わるリスクは常にあると言っても過言ではない」と国債の〝即死〟を警戒する発言を口にした。

 全国紙経済部記者はこう語る。

「山口副総裁の発言が持つ意味は大きい。通貨の安定を〝社是〟とする日銀の幹部が、通貨暴落をもたらす国債破綻について明言することはめったにない。それほど危機感が強いということでしょう。事実、山口副総裁は同じセミナーで『財政再建に向けて着実に歩を進めていくべき』とも語っていました」

 政府、財務省、日銀トップたちの顔ににじみ始めた焦燥感。その先には「国債暴落→超インフレ(ハイパーインフレ)」という、いまだ語られない「恐怖のシナリオ」がある。

 超インフレで国の風景は変わり果ててしまう。だから〝安全報道〟を心がけるテレビや新聞は報じようとしない。では本誌が真っ先に「超インフレ後」の日本の姿を紹介しよう。想像していただきたい---。

 東京・丸の内にサムスン、タタ・モーターズなど外資系メーカーの本社ビルが立ち並ぶ。三菱や三井といった財閥系の看板は引きずり降ろされ、もはやその名前をテレビCMで見ることもない。皇居の周りは中国人、インド人、中東系などさまざまな人種のグローバルエリートが、出社前のジョギングで汗を流している。

 日比谷公園まで足を伸ばせば、大量のホームレスが炊き出しに並んでいる。年齢は40~80代、いずれも日本人の元エリートサラリーマンばかりだ。世田谷、杉並などに持っていた家は、住宅ローンの金利が払えずに手放していた。家が競売で買い叩かれることが決まった日、妻と子供は北海道の田舎へ帰った。「あの日」を機に人生は一変、仕事も家も家族もすべてを失った。この年、自殺者が6万人を突破したというニュースがラジオから流れた—これが現実となる日が近付いているのだ。

 超インフレは経済に致命的な大打撃を与える。

 たとえば、第一次石油危機後の日本。トイレットペーパーをはじめとする日用品の価格が2倍にも上がった「狂乱物価」となった後、GDPが10%以上(年率換算)のマイナス成長を記録する最悪の不況が到来している。さらに就業者数の減少は4ヵ月も続き、一月で80万人規模減少(前年同月比)する月もあった。競争力を失った企業からバタバタと倒産していき、生き残った企業も残業代カットや新規採用の抑制を実施。職にあぶれた人が急増し、雇用保険の受給者が100万人を突破した。

 第一次大戦後のドイツでは最悪期には物価が10%強のテンポ(1日平均!)で上昇する超インフレが起きた。そのうえ、自国通貨の下落のペースが給料アップのスピードを上回り、1ヵ月の給料でコーヒー一杯も飲めない状況に。通貨の価値がフリーフォールのように急落下したため、企業は給料の支払いに紙幣に加えて地元商店街で使えるクーポン券を支給、自治体も独自通貨の発行を始める事態となった。さらに手持ちの預金や株資産の実質価値が激減、〝虎の子〟は紙くずと化した。大量の失業者を抱える回復不能の恐慌。それは「国家崩壊」の姿そのものではないか。

 そして今回、日本国債が暴落して超インフレとなれば、この二つのケースを合わせてさらに規模を大きくしたような事態になる。それこそが財務省・日銀が密かに見据える「恐怖のシナリオ」だ。

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