上田眞理人FXプライム専務
「東日本震災後で揺れるマーケットは円高、円安、どちらに向かうのか」

混迷時代の為替市場を聞く VOL.1
上田眞理人氏(FXプライム株式会社専務取締役)(左)と磯山友幸氏(経済ジャーナリスト)(右)

インタビュアー:磯山友幸氏(経済ジャーナリスト)

磯山: 東日本大震災の直後、株は大きく動きました。報道によるとロスカットルールの問題などあって非常に大きく損をされた方もいるし、マーケットとしては大波乱の1日、2日だったと思います。では為替のマーケットで何が起き、どういうポジションの人たちがどういう動きをしたのか、バックグラウンドで分かっているところを教えていただきたいと思います。

上田: 私が経験した中でも、これまで大きな相場は何回かありました。プラザ合意なように政治的背景のある相場は別とすれば、今回の震災と比較されるのは阪神大震災であり、9・11だと思います。

 では、その二つと何が違ったか。ひとつは時間帯の差が大きい。そして、もうひとつは、当時に比べると個人の方が深く為替にインボルブされているようになっている。この点が、大きく違ってきたかなと思います。いちばん大きいのは時間帯だと思います。

9・11の炭疽菌騒動と似ている

磯山: 阪神大震災のときには、災害が起こった時間は早朝でした。

上田: ええ。しかし、実際に被害等々が伝わり、何が起きたかわかったときは、すでにマーケットが十分流動性を持った時間帯でした。

 また、9・11は、ご存じの通りいちばん流動性がある時間帯だったので、ある程度ファーストショックを受け止める力があったと思います。

 今回の場合、地震は午後2時を過ぎて3時ちょっと前の発生でした。それはすぐにマーケットは受け止めたんですが、では実際に何が起こっているかということが実はあまり分からなかった。

 3月11日は金曜日だったので、週末の間にだんだん状況がはっきりしてきた。月曜日以降はまずは震災と津波の被害が大きいことは分かったものの、その段階では原発の問題はまださほどクローズアップされていなかった。

 だんだん原発事故が深刻だということが人々の頭に入ってきたのが、翌週の後半でした。それで実際にポジションが固まって、個人の方も含めてかなり外貨ロングが溜まったところで爆発したのです。

磯山: その結果、1ドル80円を割ってしまいました。

上田: ええ、ご存知の通り95年の今までのドル円の最安値を切ってしまったんです。その時間帯が早朝だったということで考えると、ニューヨークのクローズのちょっと後で仕掛けた人がいるんでしょう。これが誰なのかまったく分かりません。

 そのタイミングで起こったために、私の経験の中でも未だかつてないような相場展開でした。それはどういうことかと言えば、流動性がまったくなかったということです。

 値幅とか動きだけを見るとそれこそ95年の阪神大震災とか、大きな動きはありました。

 しかし、その中身がスカスカという意味では今回がいちばんひどい状態だったと思います。

 もちろん損した方も儲かった方もいると思うんですが、背景が震災、しかも地震自体より津波の被害が大きかったこと、そして原発事故という、ずっと心理的にも影響するような悪い材料を抱えながらの相場なので、なかなか他のケースのように回復力が出てこない。

 さらにいえば阪神大震災と比べるよりは、私は9・11と比べるべきだと思います。

磯山: それはなぜですか。

上田: 不確定要素が大きいという意味です。今度の原発事故に相当するものが、9・11のときは炭疽菌の問題ですね。確かに阪神大震災も悲惨でしたが、最初衝撃が大きかったけれども立ち上がりが早かった。被害も明確に可視化された。9・11はなかなかそれが分からなかったという点で、今回と同じだと思います。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら