「成長戦略」こそ政権奪還への近道だ
五輪後の「空気の変化」が読めない自民党

 2010年度予算案は3月2日に衆議院で採決されることが決まり、憲法の規定により年度内に成立することが確定した。

予算案については衆議院が優越している以上しかたのないことであるが、こう決まった以上は、参議院予算委員会の質疑に世間の注目が集まらなくなるであろう。自民党の筆頭理事を務める立場からは辛いところである。

 バンクーバー冬季五輪が終わって、世の中の雰囲気が微妙に変わってきている。自民党も有権者の関心をどうつなぎ止めるかにもっと注意を払わないと、じり貧状態に歯止めがかからない。

 しかし、今の自民党執行部には、そのような世論の変化を敏感に理解する嗅覚が乏しい。国会審議をストップさせるべきだったのは、もっと前の時点である。予算の出口が見え始めてからでは遅い。

 しかも、わずか3日間で審議に復帰している。何も獲得しないままに、である。長崎県知事選や町田市長選挙に勝ったのはよいが、それは民主党が批判されたのであって、自民党が評価されたからではない。

 勝って審議拒否なら、負けたらどうしていたのか。一気に、国会審議の中で政府・民主党を攻めたほうが効果的だったのではないか。地方選挙の成果を台無しにするような戦略をとった責任は誰がとるのか。

 そしてまた、谷川秀善参議院幹事長の「蛙の面に小便」発言もいただけない。この人もまた自民党執行部の人間であることを忘れてもらっては困る。関西弁で面白い表現をすれば、マスコミは喜ぶ。面白いからテレビが報道する。しかし、その度に自民党支持率は下がっていく。幹事長の仕事は選挙に勝つことである。

 3月から、空気は変わる。政治とカネの話はむろん大事である。しかしながら、国民が野党にこの段階で求めているのは、経済・財政政策についての政府の無策ぶりを叩くことであり、国家の基本である安全保障政策で軸の定まらない不安定さを批判することである。

日本のGDPを500兆円から450兆円に減らすのが民主党の政策である。成長戦略はなく、富者から貧者への富の再配分政策しかなければ、この国の経済も財政も破綻してしまう。全体のパイを拡大する政策が必要なのである。企業が活力を持てないようでは、成長も雇用もない。

 政府の仕事は、企業がグローバルな市場で生き残ることのできるように、規制緩和をしたり、法人税減税などの税制改革を断行したりすることである。このような発想は民主党にはない。だから、新生自民党が、その点で旗幟を鮮明にすることが、政権奪還への近道なのである。

党内の「言論弾圧」はやめるべし

 先般、党内に「経済戦略研究会」を立ち上げたのは、そのためだ。第2回目の参加者は46名であった(代理出席を含む)。ところが、この動きを反執行部派による策動と見たのか、研究会メンバーへの風当たりが強い。

 自民党のよいところは自由な議論を許す点であり、それが小沢独裁民主党と異なる点なのであろう。主流、反主流ともども国会審議に活発に参加して、政府を追い詰めなければならない。

 野党に転落していながら、党内の元気の良い若者に対して言論弾圧まがいのことをする必要はない。このような自民党は、病膏肓に入ったというしかあるまい。どこまで堕落すれば済むのか。

 参議院での予算審議など、もう国民は興味を持たないかもしれない。しかしベストメンバーで、政府に戦いを挑むべきである。経済財政政策と並んで、普天間をはじめとする外交・安全保障問題も極めて重要である。元外務大臣川口順子や、沖縄の現地調査を実行した山本一太らに、政府追及の先頭に立ってもらいたい。

 しかし、参議院執行部は、まだ「政治とカネ」という音楽を国民が喜んで聴くと思っているらしい。空気は変わったのである。そのことが理解できないようでは、自民党支持率の上昇など夢のまた夢である。

 因みに、参議院予算委員会の方向付けをする権限を持っているのは参議院執行部であり、現場で汗をかく筆頭理事ではないことを付言しておく。

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