誰もが編集者になれる時代~新しいキュレーション・サービス、「Scoop.it」(スクープイット)が一般公開へ
11月3日に一般公開されたキュレーション・サービス「Scoop.it」のHP

 2011年を通じて、「キュレーション」という言葉を耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。震災直後に大切な情報を見極める必要性が生じたこと、爆発するソーシャルメディアの情報洪水の中で自分にとって本当に大切な情報を見極めることの重要性等が日に日に増していること等が、背景として挙げられると思います。本コラムでも何度となく取り上げてきたトピックでもあります(文末参照)。

 今日新たにご紹介するのは、誰もがキュレーター、そしてオンライン・マガジンの編集者になることを可能にする、というキャッチフレーズで11月3日に一般公開された新しいキュレーション・サービス、「Scoop.it」(スクープイット)です。

 このサービスの特徴は、自分が興味・情熱を持っているトピックを選び、無料で登録をしておくだけで、自動的にそのトピックやキーワードに関連する良質なコンテンツがシステム内で検索され、その中で重要と思えるものだけを選ぶことを可能にしている点です。さらに、コメントを添えて投稿し、その投稿を独自のオンライン・マガジンのように出版することが出来る点です。

 ツイッターやFacebookのように他の様々なフロー情報のひとつとして共有し、すぐに埋没させてしまうのではなく、利用者が選び抜いたトピックに関し、一覧性のあるビジュアルな画面にストック情報としてまとめられる点が斬新です。

「キュレーション」に求められる「3つのS」をサポート

 キュレーションに求められるエッセンスとして、「Seek(情報を探し求めること)」、 「Sense(Make-Sense:意味付けを与えること)」、 「Share(共有すること)」の3つのSが大事であると言われることがあります。実は今までも既に「Seek」や「Share」に関しては数多くのソーシャルキュレーションサービスが存在しています。

 私たちはTwitterやFacebook等を経由して信頼する友人から最新の情報をもらい、その他にも以前にご紹介した「Paper.li」や、iPad利用者に人気の「Flipboard(フリップボード)」や「Zite(ザイト)」等のサービスを利用することでアルゴリズムにより抽出された有益と思われる情報を、効率的に「Seek(情報収集)」することが可能です。

 また「Share(共有)」の方法に関しても日本で人気の「togetter」「Naverまとめ」、海外でも存在感を増しつつある「Storify」等のいわゆる「まとめ」系サービス、その他にも手軽なブログプラットフォームとして爆発的な成長を続ける「Tumblr(タンブラー)」等を利用し、その上でTwitterやFacebookで拡散することで非常に多くの人に情報を発信することが可能になりました。

 「Scoop.it」がユニークと思える点は、この情報収集と共有を一つのプラットフォームの中で容易に実現できること、そして何より、自分が興味や情熱を持っているトピックを絞ることで、そのトピックについての目利きとして、意味付けをすることを奨励している点です。

 コンテンツにコンテキスト(文脈)を与え、そこに意味付け(sense making)を与える作業は、今まで一部の出版・編集に従事する人が長年の経験に基づいて行われて来たプロフェッショナルなスキルで、このスキルが誰にでも簡単に得られるようになるとは思いません。

 ただ、今日、世の中の事象が今までの常識を覆すようなスピードで進化をし、多様な分野に国境すら越えて広がっていった際、個人があるトピックに対して抱く「興味」「情熱」、そこから生まれる知識、知見、その世界観は、その分野に限って言えば、プロ編集者顔負けのレベルに達することもあり得るのではないかと思います。

 とはいえ、Scoop.itのユーザーは定期的にオリジナルのブログを書くレベルまでコミットすることを志向せず、Twitterとブログの間にある「手軽さ」を好むユーザーがターゲットのようです。オリジナルでコンテンツを創造しなくとも、特化したトピックに対する「情報収集力」と「目利き力」でどこまでの「メディア」が今後つくられていくことになるのか、注目してみたいと思います。

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