FCCも、買収に反対姿勢
総額390億ドルのTモバイル買収でAT&Tは巨額違約金を次期決算に計上か

AT&TのTモバイル買収に反対姿勢を表明したジュリアス・ジェナコウスキーFCC委員長 背景はAT&Tホームページに掲載されたプレスリリース(2011年4月、NABショーで筆者撮影)

 米国は今週、サンクスギビング(感謝祭)ホリデーを迎え、各家庭ではターキーを焼く香りがあちこちに漂っている。そうしたホリデー気分を吹っ飛ばすニュースが、各紙を埋めている。11月24日(米国現地時間)、AT&Tは政府に提出したTモバイルUSA買収にともなう「業務移管申請(W.Docke.No.11-65)」を取り下げると発表した。米国の通信業界を塗り替えると言われた総額390億ドルの超大型買収は、今週山場を迎え、挫折の公算が高まっている。

事実上の買収取りやめを臭わせる発表

 まず、ターキー気分を吹っ飛ばしたAT&T発表を紹介しよう。

1)22日、連邦通信委員会(FCC)."異例のヒアリング(聴聞会)"を要請する
2)AT&TはFCCに提出した業務移管申請書を取り下げた。
3)AT&Tとドイツテレコムは、買収実現に向かって交渉を続ける
4)AT&Tは同買収の違約金40億ドルを11年第4四半期に計上するだろう

 この発表はAT&Tが事実上、「Tモバイル買収に失敗した場合の予防線を張った」と言える。まだ、事態は決定的とは言えないが、買収とりやめの公算が高くなってきた。

 米国では、今回のような大型買収の場合、司法省とFCCが独占禁止法に抵触しないかどうかを審査する。同審査に通らなければ、買収はできない。

 2011年3月20日に総額390億ドルでTモバイルUSAを買収すると発表して以来、AT&Tは司法省とFCCに対して様々な駆け引きを展開してきた。しかし、交渉はうまく進んでいない。

 8月31日、司法省は同買収に対して反対姿勢を示し、差し止め裁判を起こすとの発表をおこなった。詳しくは以前のコラムを参照して欲しいが、携帯業界第3位のスプリント・ネクステル社や州政府の検察局も反対訴訟を起こしており、これらをまとめて2012年2月13日からワシントンDC連邦地裁で審理が始まる。

 AT&Tは、この司法省の反対にたいし「裁判で徹底的に戦う」との姿勢を示す一方、各業界団体や労働組合、ハイテク企業などに働きかけ、Tモバイル買収が「米国市民にとってメリットがある」「大きな雇用創造につながる」というキャンペーン活動を強化していた。

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