日本企業はなぜサムソン、現代に負けるのか
得意の「原子力」でも韓国にしてやられた

 日本は「原発大国」である。原子力発電所(以下、原発)の基数、発電出力ともに、米国、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国だ。

 2008年度時点の統計によると、原発の基数は米国104基、フランス59基、日本55基、ロシア31基、韓国20基、ドイツ17基の順。

 発電出力(万kW)が米国9905、フランス6347、日本4758、ロシア2174、ドイツ2034、韓国1753の順。設備利用率を見ても、日本は米国、フランスに次いで第3位である。

 すでに原発を導入している国は世界で30カ国、439基が稼働中。今後、新規導入を計画している国は20カ国を超える。原発導入国・地域は着実に拡大している。そしてそれは、日本のビジネスチャンスが拡大しているということでもある。

 実は世界の原子力プラントメーカーの「ビッグスリー」は、日系企業なのだ。80年代、世界の原発市場を席巻したウェスティング・ハウス(WH)社は東芝に買収され、ゼネラル・エレクトリック(GE)社は日立製作所と日立GEニュークリア・エナジーを設立、仏アレバ社もまた三菱重工(MHI)と提携している。

 そしてロシアの国営企業ロスアトムが、この東芝・WH、日立・GE、三菱・アレバの各連合を追走している。原発市場がグローバル化する中で、日系企業は着実に実績を積んできた。

 ところが昨年末、こうした原発ビジネスに異変が起きた。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国が総額200億ドル(約1兆8300億円)を投入して建設する原子炉4基の入札で、韓国電力公社(KEPCO)を中核とする斗山重工業、現代建設、サムスンC&T、WH社など韓国企業グループが、日立・GE連合と仏アレバ社中心のフランス企業グループに競り勝ったのだ。

 また、ベトナム政府は2月初め、同国が計画している東南アジア初の原発建設プロジェクトの第1期工事7500億円(原発2基)について、ロシアのロスアトムに発注することを決めた。アブダビ商戦での敗北を総括した日本は、東芝・日立・東京電力など官民一体の"オールジャパン"で臨んだ。

 しかしプーチン首相が自らハノイ入りし、ロシア製の原子力潜水艦供与という軍事協力を含めた国家挙げての攻勢のまえに敗退した。

同一産業にプレイヤーが多すぎる

 トヨタ自動車のリコール問題を尻目に韓国の現代自動車が米国市場で急速にシェアを伸ばしている。サムスン電子は世界の家電・半導体市場でパナソニック、ソニー、NECを凌駕している。日本企業の最近の低迷ぶりは目を覆うほどだ。なぜ、日本は技術で勝っていても、事業や利益で負けるのか? 日本企業の行き詰まりは実に深刻である。

 まず、日本の経済的な地位が低下している事実をしっかりと認識すべきだ。一人当たりのGDPの世界ランキングは2000年3位が08年には23位、世界GDPに占めるシェアは90年14.3%が08年には8.9%まで低下している。国際競争力順位の変遷を見ても、90年は1位だったのが、08年には何と22位まで下がっている。

 その理由のひとつに挙げられるのが、日系企業は同一産業内にプレイヤーが多すぎるということだろう。液晶テレビ、鉄道車両、水ビジネス、画像診断機器、そして原子力のどれをとっても、日本は4~6社がしのぎを削っている。が、米国、欧州、アジアなどどこを見ても主要プレイヤーは1、2社である。

 日本企業は過当競争に追い込まれているのだ。詰まるところ、特定企業や特定商品の問題ではなく、日本企業のビジネスモデルの問題である。

 いま日本に必要とされるのは、事業コスト圧縮、法人税減、人材の競争力強化、産業政策の積極化、企業立地支援、首脳外交の強化など、日本の将来を創るための戦略的発想の構築である。それにはもちろん、"オールジャパン"が前提であり、戦略的な産業構造ビジョンを打ち立てることが必要である。

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