復興よりも先に進む、東電、銀行、財務省を保護する「福島原発賠償策」の異常 1世帯当たり1万7000円の値上げに直結

2011年04月26日(火) 町田 徹
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 そういう議論は、憲法が保障した財産権を侵すものだとの法廷闘争を呼ぶ可能性が高く、今回の福島原発事故の賠償の大幅な遅滞を引き起こすリスクがあるからだ。筆者はあちこちで主張してきたが、まずは、被災者への日々の生活補償を、次いで本格的な損害賠償を急ぐべきである。

 ただ、もし東電が賠償の必要に迫られて、自らの意思で発電所や送電網を売却するというのであれば、それは民間企業・東電の自由意思として尊重すべき判断である。

 発電所の売却により、東電は潤沢な賠償資金を調達できるし、発電に競争が導入されれば東電の事業コストそのものが引き下げられるメリットも期待できる。

 そうしたことを電力行政が阻むとすれば、これほど奇妙な議論はないだろう。今回のように、東電の自助努力を待たずに、いきなり救済策を持ち出すことも、東電の思考を停止させるものであり、阻むことと同じぐらい罪深い行為である。

 まずは、東電の自助努力を促すことこそ、政府に期待される使命である。

安定供給と東電の存続は別問題だ

 その具体的な手法については、4月5日付の本コラム「東電は国有化より、メキシコ湾BP型ファンド創設で速やかな対応を」で私見を示したので、興味のある方は参考にしていただきたい。

 最後にもう一度繰り返すが、今回のような政府支援は、あらゆる手を講じた後、「最後の最後の手段」として、考慮が許される話だ。

 今回のように「税金を投入しない」と強調し、あたかも国民の利益を守るようなプロパガンダを新聞各紙を通じて展開しておいて、実際は東電や銀行を手厚く保護して、庶民を泣かせる値上げを騙し打ちで強行するようなやり方は、国民の政治、政権、官僚不信を招く行為である。

 仮に、政府が支援に踏み切るときは、電力の安定供給に配意する一方で、モラルハザードの観点から、東電という企業の存続を許してはならない。安定供給と東電の存続は別の問題だ。

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