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インターネットが普及し、ユーザー数も当初とは比較にならないくらい爆発的に増大した。
あらゆる場所と人々がつながったいま、インターネットを利用するということは、ただ検索や買い物、情報発信のためだけではなく、社会そのものを変える可能性にも満ちている。
実際に、新しい産業が生まれ、旧来の産業のなかには価値転換を迫られているものもある。あまりにも変化の速度が激しいため、我々自身がその状態に適合する術を知らない。

本連載ではインターネットを介在させることで、これまで見過ごされてきた価値や経験などのヘリテージ(財産)を、新しい未来へとどう接続し直していくのか、コミュニケーションやメディアの変遷を通じて探ってみたい。
例えば、それは筆者のフィールドであるメディア産業を軸に、金融、製造など、多岐にわたる分野で起きつつあることを取り上げながら、新しい環境に我々が適合するためのヒントを探っていきたい。

調査協力:丸山裕貴

 私が解文を寄稿した書籍『フェイスブック 若き天才の野望』(デビッド・カークパトリック著 翻訳 滑川海彦, 高橋信夫/日経BP)に、創業者のマーク・ザッカーバーグが自ら生み出したサービスの無限の可能性に気づく瞬間が記述されている。

 ビル・ゲイツがすべてのアプリケーションはひとつのOSのもとで稼働すべきだと気づいた瞬間、あるいはグーグルのサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジが検索結果を広告プラットフォームに紐づけられると気づいた瞬間に並ぶ、"世紀の発見"として紹介されているその瞬間とはなにか。

 ザッカーバーグの発見は、フェイスブックがつくった写真投稿アプリの爆発的人気に端を発する。その写真投稿アプリはネット上に存在する多くの写真共有サービスに比べたら、最低限のことしかできない。特に高解像度の写真が保存できるわけでもなかった。なのに、なぜかフェイスブック・ユーザーはそれに夢中となり、アクセスの伸張に貢献した。

 写真投稿以外にもイベントを告知するアプリケーションも高い人気を誇っていた。ザッカーバーグは、そこにどんな秘密を見てとったのだろうか。

「それは、山ほどの欠点があっても、ひとつだけほかにないものがあったから。それは、ソーシャルグラフとの融合だった」。これはザッカーバーグの分析だ。ソーシャルグラフというのは、人間の関係性を可視化したグラフのことだ。それは節と枝から成る。ザッカーバーグは次のように続ける。

「いろいろ考えた末、フェイスブックの核をなす価値は、友だちとの一連のつながりにあるという結論に達した」

「ウチには、時代で最強の配信機構がある」

 そう、ここに今日のソーシャルメディアを考察する際に、とても重要なカギがある。わたしはこの一節が忘れられなかったが、同時にマーク・ザッカーバーグほどの確信がもてずにいた。

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