大増税路線に騙されるな! 東電を潰さない政府案では国民負担10兆円、 解体すれば0.9兆円で済む遅れる復興の裏で補償問題だけが進む不思議

2011年04月25日(月) 高橋 洋一
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 東電の賠償問題では、資産側と負債側にいろいろな要素を加味して考えなければいけない。まず資産側だが、原子力損害賠償法に基づき東電は原子力損害賠償責任保険に加入する義務があり、福島第一原発で0.2兆円だ。これは東電への支援になるので、資産側に加算する。

 さらに、この責任保険でカバーできない範囲については、国が東電を相手として原子力損害賠償補償契約を結んでいる。これは2010年度予算で1.7兆円だ。これも資産側に加算できる。

 その一方、今回の原発問題への賠償は一義的には東電にかかる。その金額は今の段階では確定できないが、将来負担や各種経済への負担まで含めると数兆円から10兆円までありえる。これが負債側にのっかる。

 これで、修正されたバランスシートを見ると、完全に債務超過になる。その超過分は国民負担になる。これが、東電補償問題を考える上での原理原則だ。

 これさえ押さえておけば、負担関係の理解は容易になる。

東電が債務超過にならないように国民負担をする?

 今回の政府案にでてくる交付国債は、国民負担の一部である。また、金融機関からの融資は、一時的に資金融通されるがいずれ電力料金の引き上げによって賄われるので、これも国民負担の一部である。電力料金は独占価格であるので、電力会社からの持ち出しがなく、国民に負担が転嫁されるからだ。

 政府案は、東電全体を存続させる。具体的には、東電の上場は維持し、債務超過にされないとし、債券・社債はすべて毀損しないので、純資産や負債が保護され株主・債権者が負担することはない。株主は配当減少、希薄化で損失を受けるともいわれているが、100%減資でないのでたいしたことでない。

 その対極として、電力事業を維持しながら東電を解体するという考え方もある。東電を更正手続きのような解体処理すれば、電力事業を継続するとして流動債権者は守るとしても、それ以外はカットされ株主や長期債権者は負担を被る。この場合、東電の電力事業は、他の電力会社や他の公益事業会社が運営するということもありえる。

 いずれにしても、仮に補償額が10兆円として、今の政府案のように東電を温存すれば国民負担は8.1兆円にもなるが、東電を解体して電力事業だけを継続させれば国民負担は0.9兆円まで下がる。

 

単位は兆円

 

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