「反小沢」の七奉行さま、
3月決起も腰砕けですか

前原首相-枝野官房長官、
組閣リストも作ったのに

 小沢一郎幹事長が、自身の資金問題で起訴されるかどうか、国民も固唾(かたず)を呑んで見守っていた時期のことである。1月31日、都内某所に、民主党の"4人組"の面々が集まっていた。

 彼らは、民主党の「七奉行」(仙谷由人国家戦略相、前原誠司国交相、岡田克也外相、枝野幸男行政刷新相、野田佳彦財務副大臣、玄葉光一郎氏、樽床伸二氏)と言われるグループの中枢を成す議員たち。集まったのは、仙谷、前原、枝野、野田の4人だった。

「会合の目的は、『小沢起訴』にタイミングを合わせ、どういう行動を取るか、ということでした。独自に東京地検特捜部の捜査情報を収集して、小沢氏が起訴されるのは確実と見ていた4人は、いわば"決起"の前相談をしていたのです」(民主党幹部)

 その場では「鳩山―小沢体制は長続きしない」ということでメンバーの意見が一致し、"次の内閣"にまで話が及んでいたという。

「小沢氏が失脚し、鳩山政権が潰れた場合、次期総理として前原氏を押し立てる。その際には枝野氏が官房長官、財務大臣は野田氏でいく、などという"組閣リスト"までできたということです」(同幹部)

 しかしそんな人事構想も、その直後に"幻"と消える。その後の2月4日、小沢氏の不起訴が決定し、彼ら反小沢派は、再び「沈黙」してしまったのだ。

 どうして彼らは、そんなに簡単に引き下がってしまったのか。世論調査を見ても、いまだ約7割の国民は、「小沢幹事長は辞任すべき」と考えている。「七奉行」はその世論を汲み取り、「小沢氏は説明が足りない」と、大声を上げるべきだった。そもそも彼らは、自民党の金銭疑惑を厳しく追及し続けることで政権を取ったのではなかったか。

 民主党の中堅代議士の一人は、そんな「腰砕け」状態について、こう嘆息した。

「そもそも七奉行をけしかけたのは、渡部恒三元衆院副議長。その渡部氏が、小沢不起訴が決まったとたんに、『友人として心配していたのでよかった』などとコメントしたので、みんなガックリしたようです。もともと渡部氏は"おしゃべり恒三"と呼ばれ、余計なことをベラベラしゃべって責任を持たないことで信用がなかったのに、これでますます評判を落としました」

 渡部氏は最近まで、「大政翼賛会は長続きしない」などと、さかんに小沢批判を展開していた。しかし不起訴決定後は打って変わって、ほとんどマスメディアへ露出しなくなってしまった。最近は「予算委員会に出席のため、時間がない」などと理由を付け、取材を受けなくなっている。

 渡部氏は周囲に対し、「オレがモノを言っても、誰も付いて来ない」とグチをこぼしているという。だが、それは致し方ない。後輩議員を「反小沢運動」にけしかけておいて、自分が真っ先にハシゴを駆け下りているようでは、自業自得というものだろう。

 そんな渡部氏に乗せられてしまった格好の七奉行もなさけない。玄葉氏は『文藝春秋』の取材に応じ、「小沢氏は民主党にいらない」と批判を展開した。だが、雑誌の発売前に小沢氏の不起訴が決まり、その後は沈黙している。

 小沢氏と距離を置く、別の民主党議員はこう話す。「反小沢系のある副大臣が、こう漏らしていました。『結局、小沢さんがいないと、みんな選挙に勝てる自信がないんだよね』と。『言いたいことは山ほどあるが、民主党政権を守るためには、ガマンするより仕方がない』というんです」

 だがそれこそ、本末転倒というものだろう。国民が期待したのは、別に民主党政権が永遠に続くことではない。政権維持を最優先にする自民党型の古い政治と決別し、真に国民目線で行われる政治が実現するかもしれない、という可能性にかけたのだ。

 その民主党政権が、やっぱり「何はともあれ、政権維持」というのでは、本来の意義とは真逆である。民主党議員たちは、いつからそんな"保身家"ばかりになってしまったのだろうか。

マスコミにも小沢のスパイが

 七奉行らが腰砕けになる背景には「小沢軍団」と呼ばれる一部の議員たちによる恐怖政治の影響もあるようだ。七奉行を中心とした反小沢派の議員たちが、新築される議員会館のワンフロア(第一議員会館8階)に"押し込められた"ことは先週号でもお伝えしたが、ある閣僚は、本誌の取材にこう苦衷(くちゅう)を漏らしている。

「自分がオフレコで小沢批判をすると、発言した内容がすべて、小沢氏側近の元に届いている。党国対幹部でもある側近には国会内で呼び止められ、『先生、この発言の意図はどういうことでしょう?』と、発言内容のメモを目の前で読み上げられた。マスコミの中にも、小沢氏のシンパになって情報を届けている人間がいて、ヘタなことをしゃべれないんだよ」

 実はこうした現象が、複数の大臣・副大臣の身に頻繁に起きているという。政府側で役職に就いている議員らからすれば、常に小沢氏が牛耳る「党」側から監視されているようなもので、「不気味でしょうがない」(前出・閣僚)というのだ。

 こうした"小沢ユーゲント"とも言うべき、閉鎖的で陰湿な側近たちが幅を利かせていること自体、現在の民主党政権の異常性をよく表している。まだ少しの良心が残っているはずの「七奉行」には、そんな異常さを正し、風通しの良い「民主党らしさ」を取り戻すための「決断」と「行動」が求められているのだが・・・。

 小沢氏と距離を置く代議士の一人は、「諦めて逼塞(ひっそく)しているわけではない」として、こう力説した。

「七奉行や4人組の中では、『小沢幹事長のままでは参院選に勝てない。鳩山首相も、普天間基地の移転問題が行き詰まり、5月には政権が危機を迎える』という見方で一致しています。東京地検特捜部が3月までに小沢氏を『脱税』で捜査する可能性も残されている。いまは予算審議が最優先なので、表立った行動は控えていますが、"小沢降ろし"のチャンスは、もう一度巡ってくると見ています」

 チャンスがきたら、小沢降ろしで立ち上がる。しかし、「特捜部が動いたら」とか、「時期が来たら」とか、「たられば」の話ばかりしていては、小沢軍団から足元を見られるだけだ。実際、小沢氏周辺からは、「七奉行なんて、どうせ何もできない腑抜(ふぬけ)の集まり」と見られている。完全に舐なめられているのだ。

 もともと反小沢派の議員らは、小沢氏が発言力を維持する限り、やがては党内で失脚するか、ヘタをすれば追放される運命にある。前原氏しかり、枝野氏しかりだ。小沢氏にやられる前にやるべし―だが、それができないのがまた彼らでもある。要は日和見(ひよりみ)にして、ひ弱な花なのだ。

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