塩崎恭久元官房長官インタビューVOL.2
「まずは『15年後に原発停止』の工程を決める。国民全体でタブーなしの議論をする時だ」

震災やそれに伴う自粛ムード、電力不足の影響で、日本中で経済活動が猛烈に落ち込んでいる〔PHOTO〕gettyimages

聞き手:磯山友幸(ジャーナリスト)

vol.1はこちらをご覧ください。

---東日本大震災からの復興に向けたグランドデザインを描いてプロジェクトを進めないと日本経済が大きく落ち込むと主張されていますね。

塩崎: 震災やそれに伴う自粛ムード、電力不足の影響で、日本中で経済活動が猛烈に落ち込んでいます。このままでは巨大な「経済大津波」が日本を襲うことになりかねません。これを回避するためには国民の英知を集めたグランドデザインを描いて、実行することが重要だと思っています。

 菅直人首相も口では「復興は単に旧に復するのではなく、価値を生み出すものでなければ」と言っています。それならばどんな日本にするのか、もっと早くビジョンを示すべきです。ようやく立ち上がった復興構想会議が6月末までに意見をまとめると言っていますが、それまで何も着手できないとすると、余りにも遅過ぎます。

---復興の前提として、原子力発電所の事故が長引く中で、今後の日本のエネルギー政策をどうするのかという大きな問題が立ちふさがっています。

原発はM9.0の地震、津波に耐えられるのか

塩崎: まずは、日本にある原発のデューデリジェンス(実態精査)を徹底的に行い、厳格なストレステスト(健全性検査)を実施すべきです。東京電力の福島第一原発は想定を超えるマグニチュード9.0という地震によって20メートルを超える津波が押し寄せました。同様の地震・津波が起きた場合、全国の原発はどうなるのか。ストレステストの結果をきちんと示さなければ、国民はもはや政府や電力会社を信じません。

風力発電〔PHOTO〕gettyimages

 今回、被災地に行って分かるのは建物の屋根にブルーシートがかけられている光景が少ないことです。阪神淡路大震災の後はブルーシートばかりが目立ちましたが、まったく違います。今回は地震より津波の被害が圧倒的に大きかったということです。ですから、原発についても、大津波が来たらどうなるか、という点ばかりに焦点が当てられています。しかし、リスクを考えれば、今回と同様の巨大地震が原発の直下で起きるという可能性だってあるわけです。

---脱原発を促進せよ、という主張ですか?

塩崎: 私は単純な脱原発論者ではありません。自民党政権時代には、低炭素社会の実現に向けた取り組みを責任者となって取りまとめました。その中でも、万全な安全策を確保したうえで原発を推進するという方向性を示しました。温暖化の防止には二酸化炭素を出さない原発を抜きにエネルギー政策は考えられなかったのです。

 ただ、今回の大震災で、安全の前提が大きく揺らぎました。まず、すべての原発について、デューデリとストレステストをやらない限り、国民はもう原子力政策の推進を支持しないでしょう。しかし、電力供給量が絶対的に不足する中で、原発の即時廃止といった感情論だけでは問題が解決しないことも厳然たる事実です。

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