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東京・東海M8.0級大地震に備えよ
いつ来てもおかしくない

 連日、テレビから流れてくる緊急地震速報のチャイム音を、聞き流してはいけない。地震は慣れてしまうのが一番恐い。備えあれば憂いなし。近くあなたの街を巨大地震が襲うかもしれないのだ。

余震は100年以上続く

 京葉コンビナートや京浜コンビナートがある東京湾沿岸の埋め立て地には、600基もの浮き屋根式タンクが稼動し、東京電力の火力発電所も11ヵ所、立ち並んでいる。もし首都圏を襲う直下地震が起きたら、大きな震動や液状化現象によって、タンクや発電所から重油や原油、LNG(液化天然ガス)といった貯蔵物が東京湾に流れ出す---。こんな大惨事を危惧する研究者がいる。社団法人土木学会の元会長で、早稲田大学創造理工学部教授の濱田政則氏だ。

「首都圏で大地震が起きた場合、東京湾沿岸にある川崎市の東扇島東公園が、基幹的広域防災拠点になります。国内外から船で搬入される水や食料、医薬品などの集積、荷捌き、分配作業等がここで行われる予定です。

 しかし、貯蔵タンク自体が炎上するだけでなく、漏れ出した貯蔵物にも引火すれば、東京湾は輸送経路として使い物にならない。まさに『火の海』と化すのです。高速道路や鉄道網の近くで、崖崩れや構造物の倒壊などが起これば、陸路からの輸送経路も断たれ、東京は孤立してしまう。救援物資や救援隊が遅れれば、首都圏の復旧や復興に大きな支障をきたすことになります」

 いま、東日本全体では連日のように余震が起こっている。「3・11」に本震が襲い掛かってきてから1ヵ月以上経過したのに、余震は減るどころか、むしろ増えている印象が強い。

 気象庁の発表によれば、4月12日17時までに発生した震度4以上の余震は、早くも111回に達した。昨年1年間では37回しか起きていないから、たった1ヵ月で昨年の3倍もの地震を私たちは経験した計算になる。

 過去、日本の海域で発生した大地震と比較しても、余震の回数は際立っている。'94年の北海道東方沖地震(M8・2)直後の1ヵ月間で起きた余震(M5・0以上)は113回だったが、今回は408回にものぼる。

 頻発する余震は何を意味するのか。もしかしたら、明日にでも、大地震が起きるんじゃないか---誰もがこう危機感を抱くほど、余震は多発しているのだ。

 今回の本震と同じプレート境界型地震として知られるスマトラ島沖地震('04年12月/M9・1)では、3ヵ月後にM8・6の大きな余震が発生しているが、その大きさや回数は、本震の規模によって決まるという。

 北海道大学理学研究院附属地震火山研究観測センター准教授の勝俣啓氏が解説する。

「余震は、岩盤の『割れ残り』です。本震で一度、その多くは破壊されたのですが、割れずに残っている箇所がある。いまも宮城沖などで起きているのは、それらが時間をおいて次々と壊れている余震です。

 今回の本震で放出されたエネルギーというのがケタ違いに大きく、阪神大震災の約1000倍でした。その分、本震の影響が広範囲におよんだので、割れ残りも多く存在する。それがなくなるまで余震はずっと続くわけです」

 勝俣氏は少なくとも半年は余震に対する警戒が必要だと指摘するが、今後何年も続くという専門家もいる。東京大学地震研究所応用地震学研究室教授の纐纈一起氏だ。

「普通の規模の地震なら、余震は1~2ヵ月程度で済むと考えられていますが、今回はこれだけ巨大な地震が起きたのですから、最低でもあと数ヵ月、長ければ年単位で続く可能性もあります」

 ちなみに、1891年、M8・0を記録し、「日本史上最大の直下型地震」とされる濃尾地震の場合、発生から120年の歳月が経過したが、

「いまだに有感、無感(震度計には記録されるものの、人体には感じない地震)の、余震と思われるものが続いている」(京都大学大学院理学研究科教授の平原和朗氏)

 という。余震とは地震につきものの現象なので、相当長期にわたって起こりうると覚悟したほうがいい。

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