永田町ディープスロート

「破産会社」はほんとうに「優良会社」になったのか。首長としての実績を問う---橋下「大阪府改革」を検証する

2011年11月18日(金) 松本創
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〔PHOTO〕gettyimages

[取材・文:松本創]

 11月27日の投開票に向け、白熱する大阪市長・府知事のダブル選挙。知事職を辞して、市長の座を目指す橋下徹が掲げる「大阪都構想」や教育基本条例案、さらには彼の独裁的手法の是非が争点となっている。しかし、その前に問うべきは首長としての手腕ではないだろうか。橋下は知事としてどんな実績を上げたのか。公開されているデータや記事から検証する。(文中敬称略)

 2008年1月の府知事選に出馬した橋下徹が声高に訴えた公約の一つが財政改革だった。いわく、大阪府は「破産会社」である。新たな府債発行(借金)はしない。収入の範囲で予算を組み、借金を減らしていく---。選挙のキャッチフレーズ「子供が笑う」は、教育や子育て施策に力を入れるというだけではなく、次の世代へ負担を先送りしないという意味に受け取った府民も多いはずだ。

 知事として初登庁した08年2月6日、橋下は就任挨拶で職員に対して「4つのお願い」を述べたが、最初に挙げた項目はやはり府の財政危機についてだった。

「今の大阪は破産状態にあることを皆様方に認識して頂きたく思います。 大変厳しい言い方になるかもしれませんが、皆さん方は破産会社の従業員である。その点だけは、厳に認識をしてください。 民間会社であれば---僕も弁護士として破産管財の業務、破産の申告の業務をやりましたが、破産・倒産という状態になれば---職員の半数や3分の2のカットなど当たり前です。給料が半分に減るなどということも当たり前です。(中略) この今の財政が危機状態にある大阪を立て直すには、やはり今までと同じような行政のやり方を継続していては何も変わらないと僕は思っています」

 この言葉に象徴されるように、橋下は民間から役所に乗り込んだ「コストカッター」としての役割を自任し、あらゆる場面でアピールしてきた。その感覚は、自治体財政の立て直しというより、企業再生のイメージに近い。

 自治体だからこそ抱えざるを得ない"不採算"部門、とりわけ文化や教育・福祉関連の事業や施設については多くを「不要」「無駄」「非効率」と断じ、次々と中止や見直し、補助金打ち切りを決めた。自ら急先鋒となった公務員バッシングを追い風に、人件費も大幅にカット。反対する団体や文化人、あるいは府職員とのやり取りが繰り返し報じられたこともあり、橋下には「改革の断行者」というイメージができ上がった。

 手法や事業選別に疑問は残るにしても、府財政がほんとうに持ち直したのなら、それも間違いではないだろう。実際、橋下府政の3年9ヵ月で府財政は劇的に好転したと信じる人も多い。

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