TPP国会では揚げ足取りに終始、オリンパス問題も上場廃止に至らずーー日本はいつからこんな幼稚な議論しかできない国になったのか、
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 先週のコラムで環太平洋連携協定(TPP)とオリンパス問題が「日本経済に打撃になる可能性が高い」と書いた。その後の展開をみると、そんな感じがますます強まっている。議論のお粗末さがにじみ出ているのだ。

 TPPからみていこう。

 野田佳彦首相はTPPへの参加を表明したが、言い方をめぐって永田町でぐずぐずともめた。野田が言ったのは「交渉参加に向けて関係国と協議に入る」である。すると、反対派の急先鋒だった山田正彦元農林水産相は「事前協議にとどめてくれた。ほっとした」と語った。

 山田は交渉参加なら離党をほのめかしていたが、実は本気じゃなかったから「協議に入る」という言い方を前向きに評価して、離党しない口実にしたかったのだろう。あまりに見え透いている。

野田の言い方は正しかった

 日本が「交渉に参加したい」と表明したところで、相手が「入ってもいいよ」というかどうかは話し合ってみなければ分からない。それは当たり前である。相手はもう9人(9ヵ国)が集まってパーティを始めている。そこに後から来て「オレも入れてくれ」と言っても「大歓迎だ」となるかどうかは9人次第ではないか。

 日本が「入りたい」と言えば、必ず入れると思うのは勘違いもいいところだ。本当にそう考えていたとしたら、日本がいつまでも一流の経済大国だと思っている思い上がりの反映か、よほどおめでたいかのどちらかである。日本の参加について米国に慎重な意見があることは前回コラムで指摘した。

 だから、野田が「参加に向けて協議に入る」と表明したのは正しい。日本に参加する意思があるのは明確に伝わったし、かつ相手国との協議次第であることもしっかり踏まえている。それでもダメなら、それは相手が拒否したという話になる。

 ところが、野田が表明した後も国会やマスコミ報道で「野田の言い方があいまいだった」というような批判が出た。

 交渉に参加できるかどうかは相手次第の要素が半分あるのは、小学生でも分かる理屈だろう。離党を避けたかった山田が無理矢理、野田の言い方を評価したのはまあ理解しても、野党などが「あいまい」などと批判するのはいただけない。本質に迫っていないのだ。

 交渉から離脱する場合があるかどうかも議論になった。野田が「国益を損ねてまで交渉参加することはない」と答弁すると「二枚舌ではないか」と批判された。が、これまた野田の答弁は当たり前の話である。

 交渉ごとなのだから、どんな合意ができるのかできないのか、やってみなければ分からない。最終的に納得できれば合意、できなければ合意しない。それが普通である。さらに言えば「合意しない場合もある」というカードを残しておかなければ、相手に足下を見られるだけではないか。いくら与野党で立場が違うとはいえ、国会で議員が真顔で激論を交わすような話とも思えない。

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