週現スペシャル 大病院の裏側---本当は何を考えているのか

2011年12月28日(水) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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 包括医療制度は、そもそも医療費を削減したいという国の政策から導入されたのだが、現実にはこんな弊害をもたらしているのだ。

 度重なる医療報酬のダウンが、大病院の赤字の最大の原因だと主張するのは森田医師だ。

「自民党政権時代、医療報酬はずっと下げられ続けました。民主党になって診療報酬が全体で0.19%アップされましたが、今の大病院の置かれている状況からみたら焼け石に水で、何の救いにもなりません。あれは民主党が、自分たちの政権をアピールするための宣伝に過ぎないのです」

おカネを払わない患者

 厚労省を筆頭に、国はことあるごとに、増大する医療費がいかに国の財政を圧迫しているかを主張している。しかし、それについてもこんな反論が出ている。

「日本の医療費は毎年『過去最高』を記録し、国が支払う医療費が現在は36兆円だと厚労省は発表しています。記者クラブもそれを鵜呑みにして記事にしている。でも実際には、日本のGDP当たりの医療費は先進国でいちばん少ない。今までずっと、無理やり押さえ込まれていたんです。

 それを知らない国民は『過去最高』という言葉に惑わされて、毎年医療費が膨らんでいると危機感を持つ。その結果、『患者の医療費負担額を上げる』という政策が出されれば、国民は『医療費が増えて国の税金が逼迫しているのだから、負担が増えてもしょうがない』と思い込むわけです。これは、情報操作でしょう。

 さらに言えば、日本国民の医療費窓口自己負担額は、すでに現在先進国中でトップクラスなんですよ。このことも、ほとんど報じられていないでしょう。まさに、何も知らされていない国民が一番不幸です」(前出・本田医師)

 数々の原因があるものの、国が医療費を抑えたいがための政策によって、病院の診療報酬は低く、国民の医療費負担は高い、というなんともいびつな構造になっているのだ。さらに、病院の経営を圧迫している原因は、患者側にもある。

「おカネを払わない患者が増えています。生活保護受給者の場合は国から支給されますが、あるのに払わない患者が病院経営を圧迫しているのです。医者には診療を拒んではいけないという法律があるので、診察の拒否はできません。裁判をしても持ち出しのほうが多くなるからというので、結局は泣き寝入りです。病院の中には、悪質な患者のリストをつくっているところもあります」(前出・森田氏)

 医療を受けておいて治療費を払わない患者は言語道断だが、ちょっとした風邪でも大病院にかかる

---こんな患者は、じつは病院から「迷惑」と思われている。医療経済学を専門とする東京医科歯科大学大学院教授・川渕孝一氏が説明する。

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