雑誌
ニッポンはビョーキです!異常コンプライアンス社会 あなたの会社にもいませんか、コンプライアンス・バカ
週刊現代 プロフィール
この国は少しずつ崩壊している・・・・・・

「部下とふたりで飲むのはパワハラです」「ファックスを送るときは誰かと一緒に」

「あれはダメ」「これは止めなさい」って、社員もいい大人なんだから・・・・・・。でも、それが通じないのがコンプライアンスを声高に叫ぶ人たち。なんだかニッポンという国は、どんどん幼稚になっていく。

携帯番号を聞いたらセクハラ

「仕事柄、顧客の情報が載った新聞記事をコピーすることが多いんですが、私の上司はその新聞コピーを機密度によって『高』『中』『低』と異なる色のシールを貼って厳重に管理しろと言うんです。新聞記事ですよ。しかも、帰宅する際は、机の上に何もない状態にするというルールなので、毎日、最後の仕事はこの書類整理。最近では『そもそも新聞記事をコピーすること自体、コンプライアンス違反じゃないか』と言い出しました」

 げんなりした口調で語るのは中堅広告代理店に勤務する30代男性だ。

 いまや企業に不祥事が発覚した際、記者会見で経営陣が「コンプライアンス」について触れるのは日常的な光景。最近でも、オリンパスの不正経理、大王製紙御曹司の巨額資金流用、九州電力の原発推進やらせメール、さらには吉本興業の紳助事件などで、企業のコンプライアンス体制が問題になった。

 そもそも、「コンプライアンス」は日本語で「法令遵守」と訳されるが、いまや法律を守るだけに留まらない。自社の社員が何かしでかして、あの会社のようにトップが頭を下げるようなことになったら大変とばかり、企業の総務や人事が中心になって、なんでもかんでもコンプライアンスに結びつける。その結果、冒頭の上司のようなコンプライアンス・バカのせいで仕事に支障をきたすケースが続出しているのだ。

 まずはもっともわかりやすい例として挙げられるのがセクハラ対策。在京テレビ局幹部が語る。

「われわれのようなテレビ局というのは、一般のメーカーさんなどと比べて、男女関係には比較的鷹揚だったのですが、最近はまったく違います。特に人事部が気を遣っているのが派遣の女性社員です。住所や年齢、結婚歴を聞いてはならないというのはまだ理解できるのですが、携帯電話の番号、学歴や職歴を聞くことも禁止。これらは人事部通達で社内に徹底されています。

 だから、急ぎの連絡を取ることもできず、以前の職歴によって、どの程度の仕事を任せていいのか判断することもできない。人事部から事前に知らされるのは名前と性別だけ。それ以上のことを聞くとセクハラになりかねないという判断なんです。実際、人事部通達に反して携帯番号を聞き、それを派遣社員が社内の相談窓口に通報したことで人事部から呼び出された社員もいます」

 一緒の職場で働きながら、相手の素性がほとんどわからない。この幹部は「派遣社員の女性に仕事の指示以外に話しかけるのは挨拶だけ。挨拶しないと、今度は『無視された、パワハラだ』と騒がれますから」と呆れ気味に語った。

 思わぬことからセクハラとパワハラを指摘され、厳重注意のうえ始末書を提出させられたという40代の地方公務員はこう嘆く。

「部署の懇親会で、部下の女性を褒める意味で『○○ちゃんみたいに気遣いのできる人と結婚する人は幸せだね』と言ったのが、彼女の気に障ったようです。後で上司から呼び出され、『ちゃん付けで呼び、結婚の話をふるのは、セクハラ+パワハラにあたる』と注意されました。

 この上司曰く『そういう言動が女性職員のポテンシャルを損なうんだ』とのことです。それ以来、部署では女性職員を含めた会合は中止、私自身も部の行事はすべて欠席することにしました。結局、上司は何かトラブルが起きたときのことを考えて保身に走っているだけ。仕事を円滑に回すために、飲み会をやろうと考えた私がバカだったんですよ」

 セクハラやパワハラは、相手がどう受け取ったかが重要なポイントになる。極端な話をすれば、上司から同じ言葉を掛けられても、それをセクハラやパワハラと取るか、コミュニケーションや叱咤激励と取るかは人によって異なる。

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