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飛ばしで粉飾決算 上場廃止?
逮捕? 倒産? 買収?
オリンパスと社員3万9700人は
これからどうなるのか

損失隠しを「知らなかった」と繰り返す高山社長〔PHOTO〕gettyimages

 歴代の経営陣は何をしていたのか。真面目に働いてきた社員たちは怒り心頭だろう。医療分野では高い技術力が評価されている歴史ある名門企業。残念だが、この先は厳しい。存続すら危ぶまれている。

何人逮捕されるのか

 上場廃止になるおそれがあるため、売買をする時は警戒が必要---そう周知するために用意された「監理銘柄」に、オリンパスが指定された。上場廃止が現実味を帯びてきたが、それも無理はない。オリンパスがやったことは、それほど「悪質」だったからだ。

「山一證券やカネボウ、ライブドアといったように、粉飾決算が問題になった企業は過去にも数多くありました。その悪質性を判断するには、まず損失を隠した『金額の規模』と『期間』、そして『組織的に行ったかどうか』といった点をチェックする必要があります。オリンパスに関する報道が事実だとしたら、過去のケースと比較しても悪質さは際立っており、『きわめて悪質』といっていい」(企業法務に詳しい西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士)

 オリンパスといえば日経平均採用銘柄の一つで、1919年創業の名門企業だが、'90年代半ばに証券投資などの財テクに失敗。一千数百億円ともいわれる巨額の損失を出しておきながら、その処理を先送りして粉飾決算を続けてきた実態が、イギリス人のオリンパス元社長マイケル・ウッドフォード氏の告白などを機に明るみに出た。

「ウッドフォードが社長在任中に不正経理を徹底的に調査していれば、これほど大ごとにはならなかったはずで、いま社内には『辞めた後に海外で暴露したからこんな大騒ぎになった』といった不満がくすぶっています」(オリンパス幹部社員)

 結果、市場関係者の間では、株式の上場廃止だけでなく、幹部の逮捕や倒産、買収などが囁かれているのだ。太田弁護士が続ける。

「報道が事実なら、オリンパスが本来開示すべき損失を開示しない『飛ばし』をやっていたことは、明らかです。'97年に自主廃業した山一證券も約2700億円にのぼる『飛ばし』を行っていましたが、期間は10年程度でした。

 ところが今回のオリンパスの場合、損失隠しの金額が1000億円超と巨額で、しかも隠した期間が20年以上と非常に長い。高山修一社長は8日の記者会見で、損失隠しをしてきた責任者として、経営の中枢を担ってきた菊川剛前社長、森久志副社長、山田秀雄常勤監査役(元副社長)の3人を名指ししている。個人の犯罪ではなく、組織的な行為と見て間違いないでしょう」

 いま、オリンパスには有価証券報告書の虚偽記載の疑いがもたれており、証券取引等監視委員会は調査に着手。警視庁も本格捜査に乗り出し、オリンパスの幹部逮捕の可能性は高い。

 もちろん、証券取引等監視委員会による調査の結果、刑事罰を科すほど悪質ではなく、課徴金で済む程度と判断されれば、金融庁による行政処分で終わる。

 しかし、刑事罰が相当と判断されたら話は別だ。同委員会は東京地検に対して刑事訴追を求める告発を行うことになる。

 オリンパス側の説明によれば、損失隠しに関与したのは菊川前社長を含む3人だという。だが、20年間にわたって粉飾決算を続けていたとなると、逮捕者はこの3人だけでは済まない可能性も出ているのだ。

「菊川前社長よりも前に社長を務めていた岸本正壽氏、下山敏郎氏までさかのぼって計5人が逮捕されてもおかしくありません」(全国紙経済部記者)

 有価証券報告書の財務諸表への虚偽記載を裁判所が認めた場合、オリンパスの幹部には懲役10年以下の刑事罰が科せられる。

「ライブドア事件で粉飾額が数十億円だった堀江貴文元社長は、まだ最高刑が5年だった時に、2年6月の実刑を受けています。それが現在10年に引き上げられていることを考慮すれば、オリンパス幹部の量刑が堀江元社長より重くなる可能性は十分あるように思われます」(前出・太田弁護士)

 歴代社長3人が一挙に塀の中に落ちてしまいかねないピンチに陥っているのだ。

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