古賀茂明「増税こそがギリシャへの道。消費税率引き上げの前に『戦う成長戦略』で日本再生を」
講演録後編
古賀 茂明

 日本の場合は、もちろん借り過ぎだとは思います。じゃ、借り過ぎちゃった場合にどうすれば返せるのか。もちろんムダも省かなくちゃいけないし公務員改革とかリストラもやらなくちゃいけない。しかし、それだけではだめです。借金を少しでも減らしていくためにどうすればいいのか。

 結局、日本はいま稼げなくなっているんですよ、それが最大の問題なんですね。ついこの間まで消費税を1%上げれば2・5兆円税収が入るといわれた。消費税1%=2・5兆円と、覚えやすい数字だったので記憶されていると思いますが、実はいまはもう1%上げても2・1兆円しか入らないんです。なぜかというと、この20年間ずっと日本の経済はデフレで縮小しているんですね。

 「成長」と言うとき、よく「実質経済成長率」というのを使います。実質経済成長率というのは要するに物価上昇分を差し引いた伸び率のことです。その差し引く物価上昇率がマイナスなんです。マイナスを差し引くからプラスになっちゃっう。物価が下がった分、成長が大きく見えるんですね。ところが、我々が普段おカネのやり取りをしている現実の世界においてはずっと日本の経済は縮小しているんです。だから消費税を1%上げても、昔だったら2・5兆円増えたけど、いまは2・1兆円しか増えない、そういうふうになっている。

消費税を20%にしても追いつかない

 そういう中でいま財務省は増税をしようとしています。そうすると経済はもっと縮小していきます。で、また税収は減ります。足りないからまた増税します、とやっていって消費税を20%まで上げるという。プラス15%の増税です。15%の増税で、仮に1%=2兆円としても30兆円です。

 今年の国債発行額は44兆円ですから、消費税を20%にしても国債の発行をゼロにはできない。つまり借金は減らないんです。25%にしてぎりぎりトントン。借金を減らすんだったら30%くらいにしなきゃいけない。所得税とか年金とか払った上に、更に3割消費税に持っていかれます。こういう世界で財政再建をしましょうということになるんです。

 私が言いたいのは、「そんなやり方ではなくて、稼げるようにしなくちゃいけないでしょ」ということなんですね。

 ではどうやって稼ぐのか。必ず成長分野としてあがるのが農業です。「これから農業ですね。人口もどんどん増えているし、途上国の所得が非常に上がってきていろいろなものをどんどん海外から輸入するようになって農産品は必ず足りなくなります。日本の農業は輸出のチャンスです。これから大きく伸びるんだ」と。

 それから医療。「高齢者がどんどん増えます。医療を産業化すればこれも大きなチャンスがあります」と言うんです。これも正しいと思います。

 またエネルギー分野もそうです。「これから原発に頼らない。二酸化炭素を減らさなくてはいけない。だから再生可能エネルギーをどんどん増やさなくてはいけない。この分野もものすごく伸びるんです」と。これも正しいですね。