ソーシャルな未来を創る、一人のチャレンジャーとして
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バラバラに分断された世の中

 高度経済成長からバブル崩壊を経て、成熟期に入った1990年代頃から、政治、経済、社会、ビジネスを中心に、効率性や利便性が追求されてきた結果、個人と社会、思想と仕組み、都市と地方、過去と未来など、本来は連関しあうはずのものが、いつしか分断されてしまいました。この分断化に伴って、より深刻な軋轢が生まれ、それぞれの"正義"が対立するという現実。このようなほころびや歪みが、山積する課題の解決をより困難にしているのではないか、と感じます。

 私は、2008年にフリーライターとして独立するまでの約10年間、経営スペシャリストとして、ベンチャー企業の立ち上げや新規事業の開発、経営戦略の立案、企業買収などにたずさわってきました。

 経営学の理論やフレームワークを用いて、複雑な経営課題を分析し、その解決策を提示したり、抽象的なアイデアから新しい事業モデルを創り上げていくのは、合理性に見合った"正しいこと"だと信じていた一方、物事の道理を作ることばかりに邁進する日々の中、私は、理性と感覚が分断されている自分に、次第に不安を覚えるようになりました。

 理屈でその確からしさを証明することはできても、「そもそも、『こうあるべき』とされている姿は、はたして本当に向かうべき方向なのか?」、「自分が作る道理が、現実の世界でどう実装され、どういうことをもたらすことになるのか?」、感覚的に確信が持てないまま与えられた役割に徹する自分自身に、疑問を持つようになったのです。そんな心の葛藤に耐え切れず、ついに私は、経営スペシャリストの"廃業"を決意しました。

バラバラになったものを、もう一度、つなごう

 私は、バラバラになった自分をもう一度つなぎ合わせるためのヒントを、世界で実際に起こっている様々なプロジェクトやムーブメントから得ようと考えました。グローバルな視野とローカルな視点を持って、世界の動きをじっくり見ていくと、分断された世の中を再びつなぎ合わせようというアプローチが、次々と生まれていることがわかってきます。それぞれの背景や仕組みを丁寧に紐解いていくと、「これは、きっとよりよい未来につながるだろう」と直感的に確信でき、かつ、そこに込められた理論的な思考やコンセプトが自然と浮かび上がってくるのです。