「男の引き際」を見失った山田農水大臣や清武英利GMよりはるかに面白いーー「大盛り上がり」大阪決戦で問われる改革は「アメリカ型」か「EU型」か
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 巨人球団代表の清武英利氏が、11月11日に文部科学省記者クラブで「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」とする記者会見を開き、巨人軍人事に関して球団会長の渡辺恒雄氏を批判した。

 文科省で金曜日に緊急記者会見というからには、暴力団絡みなどかなりの社会的な影響があるものと思っていたら、何のことはない巨人の内部の人事上のゴタゴタだった。はっきりいえば、人事で気に入らない話はどんな組織でも掃いて捨てるほどある。しかし、清武氏は、辞めるつもりはないという。これで完全にしらけてしまった。辞めるからといって差し違えるのでなければ迫力も何も感じられない。

 同じ日の夜に、これも情けない姿を見てしまった。野田佳彦首相が結論を一日先送りして、環太平洋経済連携協定(TPP)で「関係国との協議に入る」と表明した。党内で「慎重に」判断せよとの意見があったので、一日だけ「慎重に」考えたのだろう。

なぜ山田農水大臣は辞職も離党もしないのか

 情けなったのはこんな茶番をした野田首相より、むしろ交渉参加に反対していた反対派、特に山田正彦前農水相だ。誰が見ても「関係国との協議に入る」というのは交渉参加に他ならない。山田前農水相はそれを「今回は交渉参加でない」といった。離党も覚悟しているとかいっていたはずだが、何もなかった。野田首相の記者会見をみて「ほっとした」というのでは、どこまで本当に反対していたのか。

 もともと、国際交渉参加は政府の権限なのだから、ここで国会議員が政治生命を賭けるとか力んでもムダだ。条約は署名まで政府の責任でできるので、国会議員としては交渉に入っている政府をチェックして最終的な批准で政治意思を示す。その段階で国益にそぐわないと思えば、当然離党や辞職もしなければいけない。

 私のスタンスは本コラムですでに述べているが、国際交渉上のものも補足しておこう。TPPには今のところ中国が参加していない。中国はいまのところ自由貿易協定への参加は消極的だ。いまのうちに日本が参加しておけば、将来中国が自由貿易協定へ参加したり、あらたな枠組みを提示した場合、さきにTPPに参加した日本はルール作りに加わっているので対中国との関係で有利になる。

 いずれにしても、自由貿易は世界の流れだ。「ASEANプラス」という形でアジア地域の自由貿易が進む可能性もある。その場合でも、日本がTPPに参加しているのは日本にとって複数の選択肢があることになって決して損にならない。