世界経済
債務危機がイタリアに波及=ユーロ圏解体の可能性高まる
〔PHOTO〕gettyimages

 11月9日、ギリシャの債務危機がイタリアに伝染した。金融専門家や市場関係者の間では、以前から「次の標的はイタリアだろう」と言われてきたことが現実味を帯びてきた。10年物イタリア国債は売り込まれ、流通利回りは、一時、危険水準と言われる7%の壁を突き破り7.4%まで上昇した(利回りの上昇=国際価格の下落)。

 今回のイタリア国債の下落を過少評価することは適切ではない。何故なら、ギリシャの債務危機が、ユーロ圏第3位の経済力を持つイタリアに伝染したことは、今後の展開次第でユーロ圏の公開につながる可能性があるからだ。

 イタリアは、日本、米国に次ぐ世界第3位の国債発行国だ。そのイタリア国債の価格急落は、金融市場に混乱をもたらすだけではなく、多額のイタリア国債を保有するユーロ圏等の大手金融機関に大きな損失を発生させることが懸念される。既に、ドイツなどでは、「ユーロ圏内で経済が相対的に好調な北欧諸国と、信用危機に苦しむ南欧諸国を分離すべき」との声も上がっている。そうした世論が高まると、ユーロ圏を維持し続ける意味は低下することが考えられる。

イタリア国債急落の背景

 元々、イタリアはわが国と並んで借金大国として知られていた。しかし、同国はユーロ圏内でドイツ、フランスに次ぐ第3位の経済を持ち、「取り敢えず、国債の償還には問題がないだろう」と見られていた。ところが、昨年来のユーロ圏内のソブリンリスクの台頭で、足元で雲行きが怪しくなっていた。

 そこに、ギリシャの債務危機拡大が発生した。投資家には「リスクの高い国債を保有したくない」との心理が働き、債務残高が約2兆ユーロのイタリアの国債に不安の目を向けつつあった。それが本格的になったのは、10月31日、ギリシャのパパンドレウ首相が、突然、国民投票の実施を明言し、ユーロ圏首脳等から厳しい批判を浴びて以降だ。「ギリシャの次はイタリアが危ない」という意識が高まったのである。

 元々、イタリア経済は伝統的に強固なギルド制などに支えられてきたものの、近年、改革が遅れ、IT分野などの展開で世界のすう勢に取り残される状況だった。しかも、少子高齢化が進む中で社会保障改革が進まず、政府の債務残高が上昇傾向を辿ってきた。ある意味では、今回の債務危機の建材かは、そうした福祉社会を維持する実力が衰えてきた現象の一つと言えるだろう。

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