「アメリカの陰謀論」に明け暮れるTPP問題、企業統治が問われるオリンパス事件ーー世界の投資家に見捨てられ日本経済のさらなる転落が始まる
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 環太平洋連携協定(TPP)とオリンパス。これは一見、無関係のようだが、実は奥深いところで話がつながってくる。ともに日本経済に対して、じわじわと毒が回ってくるような打撃を与える可能性が高いのだ。

 誤解しないでほしいが「TPPの締結が日本経済にマイナスになる」と言っているのではない。そうではなく、日本がTPP交渉に参加を表明したとしても、実は参加できないかもしれず、そうなると一層、日本経済に打撃になる。そこを指摘したいのである。

 そう実感したのは、次のニュースが報じられたからだ。

アメリカは「日本のTPP参加は迷惑」

  〈 米下院歳入委員会と上院財政委員会の幹部を務める超党派議員4人は8日、オバマ政権に対し、日本が今週環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意向を表明した場合、議会との事前協議なく早急に決断することがないよう要請した。

 議員グループが米通商代表部(USTR)のロン・カーク代表に宛てて書簡を送った。

 それによると、議員らは「日本が交渉に参加すればTPP交渉に新たな次元と複雑性が加わることになる。このため(米政府に対し)いかなる決断も下す前に連邦議会その他の関係者に相談するよう強く求める」と要請した。

 その理由として、同書簡は「日本は長い間、国内市場を意味のある競争から保護してきた」と指摘し、米国は日本政府が本気で市場を開放し、米自由貿易協定(FTA)が求める高い水準を満たす用意があるのかを十分確認する必要があるとしている。 〉(ロイター通信、11月8日配信)

 これを読んで「やはりそうか」と思った。

 というのは先日、BS朝日の『激論!クロスファイア』に出演し米国務省の元日本部長、ケビン・メアと同席した際、メアは司会の田原総一朗の質問に答えて、こう言っていたからだ。

「日本でTPP交渉参加の話が出たとき、ワシントンでは困っていた。というのは、日本が交渉に加わると、いろいろ条件を持ち出してくる。そうなると交渉の妨害になってしまうからです。私は『強い日本がアジア太平洋全体にとってもいいことだ』と主張して結局、日本を歓迎することになった」

 一部で言われたように、米国は日本に対して交渉参加を押しつけたわけではない。それは違う。それどころかまったく逆に、ワシントンでは「日本の参加は迷惑」と考える意見が出ていたのだ。なぜなら、抵抗勢力である日本が加わると、交渉全体がスピードダウンしてしまうからだ。

 先のロイター電はまさしく、そうした米国側の懸念を伝えている。これは超党派議員の動きだが、それを先取りするように、政府部内でも早くから日本の参加を懸念する意見が出ていた。メアはそれを抑えて、とりあえず日本を歓迎する方針でまとめていたのだ。

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